【2008.12.21をもって閉店致しました】
作家やアーティスト達が集う茨城県笠間市。その中でもアートの発信地として、実験的な活動がされて来た大谷石倉庫に、ひと際異彩を放つカフェ『OKAtte』が店を構えている。細い道を山の方へと入っていった所に、存在感溢れる石造りの倉庫が現れる。しかしこの中でお茶や食事が楽しめるとは、まったくもって想像しがたい外観。無造作に置かれた廃材や古道具、雨ざらしの椅子や机…。それでもひとたび古びた工具で作られたドアノブを握り,思い扉をギシッと鳴らせば、それまでの全てに納得がいく素敵な空間へと連れていかれる。
OKAtteの内装のほとんどはスタッフや知り合い、時には常連のお客さんまで参加して作られている。店内で使われている照明・家具・器などは、作家さんや知り合いから直接譲り受けたものやオーナーが各地で手に入れた工芸品。どれも買えばそれなりの値段がするものばかりなのに、気軽に使ってしまうオープンな雰囲気が店全体に流れている。オーナーの井川さんは金曜の夜にここへ来て、土日に向けて準備を始める。スローな人達が集まる週末には、オーナーとお客さんのおしゃべりが絶えない。初めて訪れた私にも「いらっしゃいませ」でなく「こんにちわ、いらっしゃい」という声が飛んで来た。ピアノの脇のテーブルに座り、定食を注文する。特にオーガニックや無農薬を売りにしているわけではないが、ここでは当たり前にそういった食材が使われている。手元にある材料でメニューが変わり、行く度に違うものが食べられるのも嬉しい。「お店をはじめてから、ちゃんと畑に行って自分の足で土に入ってものを見る大切さが分かった。だからうちでは、そのとき採れたもの、頂いたものを使って何が作れるか考える。気取ったって仕方ないし、自分にできる事しかできないから。」自然体でパワーに満ちあふれたオーナーの魅力に、毎週通うお客さんも少なくない。分け隔てなく受け入れてくれる、ゆるゆるとした空間と歴史ある建造物に包まれて、くだらない日々のストレスも吹き飛んでいく。
【2008.12.21をもって閉店致しました】
Trackback(0) Comments(4) by 吉川永里子|2008-03-16 21:09
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