ROQUi CAFE

ユタリナ・カフェ手帖　

BLOG by 吉川永里子

[丁寧なケ、素敵なハレ] 記事数：77

　茨城県北部に位置する十王駅から、住宅街の中へと迷い込んだ先にROQUi CAFEを見つけた。地図を持って行こうとしてもたどり着けない人がいるほど、普通の住宅の中にまぎれている。もともと荒れ果てた農地だった土地に、住宅兼カフェの建物を建てて活用しはじめたのは6年前。県北の数少ないカフェとして茨城内はもちろん、福島方面から来るお客さんも多い。ガラス張りの扉を開けると、スッキリとした清潔感溢れる店内が広がる。

　軽いボサノバがかかる店内には、オーナーの大内さん姉妹がゆったりと働いていた。元々東京でカフェなどの仕事をしていた2人。地元の十王にはカフェがないと思い、実家に戻って自分達でお店を開くことを決めた。祖父母が昔やっていた田んぼが長い間サラ地になっていたので、そこに自宅兼カフェを建ててオープンしたそう。光が差し込む明るい窓際の席に座って、カフェ飯の王道オムライスを注文。マガジンラックから好みのナチュラル系の雑誌を持ってきて、まったりとページをめくる。ここに来るお客さんの多くが、こうやって一人でくつろぎにくるタイプ。だからこそイスは友達の家具屋さんに注文して、ずっと座っていても疲れないものを厳選してある。流行のオシャレカフェの“ソファー×ローテーブル”よりも遥かに食事も読書もしやすい空間になっている。ごちゃごちゃ飾り立てせず、シンプルで清潔感のある店内が、結局は一番気持ちよく過ごせると気付かされる。「この辺にはカフェ文化があまり浸透してなかったから、最初の1年は何だろう？と思われるだけで、なかなかお客さんがきてくれませんでした。」とお姉さん。「でもなんといってものんびりした空気が素敵だし、地元の友達が遊びにきてくれるのが嬉しいです。」と妹さんも話す。こつこつと丁寧に、6年も続けてこれた理由がここにはある。これから先も茨城に、福島に、そして地方にカフェの文化を広めていってくれる、そんなカフェの力を感じた。