15年間、障がい者介助を夜勤で続けてきましたが、
今月でひとくぎり、生活変化にともない
しばらくお休みをいただくことにしました。
演劇が本業、福祉は副業、とわりきってスタートしたものの
結局、福祉に携わったことがきっかけになり、
演劇のバリアフリー活動を始め、
そのあと、いまや仕事の半分を占める「シニア演劇」を
スタートさせることになりました。
それだけにとどまらず、
労働組合に携わり、そこからつながる様々な社会問題に触れ
そのような活動が結果的に芝居に対する私の姿勢を変えていきました。
また、この仕事をしていたことで
キャスティングしていただけたことも、何度かあり
まさに「芸は身をたすく」ということも実感しました。
夜勤にこだわっていた理由は
昼間、存分に芝居をするためでした。
まったく仮眠をとれない夜勤もあり
その時は、次の日の稽古は苦しかったのですが
24時間、目を離してはならない難病患者さんの存在をしったこと、
そのかたの、生活に関わったことで、様々なことを学びました。
みなさんが、子育てや親の介護で学ぶようなことを
たとえば、食べられる喜び、それ以上に排せつできる喜び、
朝起きて夜寝るという当たり前の生活、
家族の存在や、自立生活とは何かということ
地域社会に生きるという意味、などなどなど・・・・
私はこの介助という仕事と通じて学んだように思います。
それでも、私は介助を仕事としてやっていましたから
時間が来れば終わる、帰れる、お金をいただけるという立場だった以上
ご家族の、ほんとうの大変さまでは
理解できないままだったと思います。
中には、相性が悪く、続けられなかった現場もありました。
とくに在宅介助の場合はよくあることですが
何年やっても、「これでOK」という経験は積むことができません。
違う現場に入れば、またゼロから関係性を築かなければならないわけです。
これは、どこか、演劇の稽古場で役に取り組むときと似たような感覚です。
成長できることと言えば「度胸がつく」「夜勤向けの体質になる」くらいのもので
他人の生活にマニュアルは作れないし、作るべきではないのです。
(現場によってはマニュアル重視らしいですが、
そのような介助を強要されなかったことは、ラッキーでした)
ただ、芝居と決定的に違うのは、「終わりがない」ということ。
芝居は稽古が開始して、本番まで頑張って、
千秋楽になれば終わります。
しかし、介助、介護という仕事には終わりが見えない・・・・
当然ですが、それが人の生活というか、人生です。
終わりのない人生という旅の中で
私たちは、日々、変化する可能性を持っているのだということも学びました。
変化は、ときに希望になり、ときに失望につながります。
なにかができるようになる瞬間、
たとえば親元を離れて自立生活を始めた人が
生活上の様々な決定を自分でできるようになることや
あたらしい福祉器具が体になじみ、行動しやすくなることは、
その方の成長として、なんとも頼もしく、尊い時間に感じました。
逆に、筋肉の衰えがすすみ、
動くことはもちろん、呼吸や会話もおぼつかなくなっていくような変化
そして何かの拍子に疑い深くなっていくような性格上の変化は
恐ろしく生々しい時間に感じました。
でも、変化がある以上、
希望は失望に、失望は希望に変わる可能性を秘めていることも痛感しました。
なんの本だったか忘れましたが
「いいことも、わるいことも、そう長くは続かない」
という老人のセリフは、
介護、介助の現場に、戒めと教訓をもって生きていると思います。
この仕事を続けてこられたのは、
常に仕事があったということと、芝居の時に休むことができた、
ということが大きいのですが、
もうひとつ、同業者(仲間)の存在も大きかったと思います。
今月で、いったんお休みさせていただくこともあり
みなさんにご挨拶をしたくて
関わってきた2つの事業所の飲み会に参加しましたが、
ほんとうに、様々な人が集まっています。
この仕事は一見、支える仕事のように見えるかもしれませんが
仲間に支えられている点も大きく、
それを日々、かんじながら過ごしていました。
だからこそ、この仕事をこれからずっと続ける方々には
横のつながりを大事にしてほしい、
とくに、悩んだとき、つまずいたとき、失敗した時は
すぐに辞めるという選択ではなく
誰かに話す、相談する、という手段を忘れないでほしいなと思っています。
そうすると、
ある日、自分が支える側に回れる時が来ると思うのです。
・・・・・わかったようなことをツラツラ書きましたが
この仕事には、愛着も未練もたくさんありました。
また現場に戻れるのがいつになるかわかりませんが
環境が許せば、また再開したいと思っています。
沢山の方々に支えていただき、学ばせていただいたことを
心から感謝しながら、いったん、お休みに入らせていただこうと思います。
Trackback(0) Comments(0) by 鯨エマ|2016-08-06 12:12
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