「どこに行っても最年長なんです」といって、劇団かんじゅく座に見学に現れたのは
85歳の女性でした。
姿勢もよく、身なりも清潔感があります。
駅で待ち合せたときに、まだ見ぬ彼女に
勝手に「おばあさん」イメージを抱いて探していたので驚きました。
はなすと、向上心もたいしたもので
「やるからには真剣にやりたい」と、意欲も満々。
かえって、うちはナマぬるく感じやしまいかと
心配になるほどでした。
お電話で問い合わせてくださった方たちから、
いろいろ質問されることがあります。
百聞は一見にしかずで、稽古場に来ていただくのが
いちばんよいのですが
わたしよりも、同世代の座員たちから情報を仕入れたほうがいいかなとも思っています。
10代の時から演劇ばっかりやっている私と、
60代過ぎてから演劇を始めた座員たちとでは
感覚がまるで違うので、
体力的なことを含めて、リアルな話ができるのは
やはり仲間だろうと思うのです。
それで今回も、稽古場に来てくださったJさんに
みんなと一緒に帰ったら?とすすめると、
「一緒に帰ると道を覚えられませんから、今日はひとりで。」
と。
そして別れ際に言ったひとことが
「90まではがんばりたいんです」
おお・・・。
その自立心、向上心、
けっして誰にでもあるものではないと思います。
私は、生きている以上、他人に迷惑をかけるのは当たり前だし
性格も違うので「こうあるべき」というのは、ないと思っているのですが
やはり「目標」があるというのは、今日の生き方を変える原動力だろうなと
つくづく思うのです。
当たり前のことですが、短いスパンであれ、長いスパンであれ
具体性のある目標って大事ですね。
かんじゅく座の平均年齢は70歳。
85歳で頑張っている彼女の存在そのものが
仲間の目標になることでしょう。
Trackback(0) Comments(0) by 鯨エマ|2016-08-04 21:09
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)