飲み屋としてしか通ったことのないゴールデン街に
2週間、芝居のために足を運びました。
究極の狭さに、もうこれからどんな劇場に行っても怖くないくらい鍛えられました。
38席なので、お客様の顔がしっかり見えます。
舞台のすぐ横にある1畳ほどの楽屋で開演の合図を待っていると
客席から、かんじゅく座の座員がおしゃべりしているのが全部筒抜け。
「エマさんのダメ出しはさぁ!」とか「食べていいの?」とか、
思わず「食べちゃだめ!!!」と楽屋からダメ出しするところでした。
満席になると最前列は、お客様の鼻先に膝がぶつかるほどの近さで
申し訳ないことに、寝てしまったかたがみえると、
なんだか私の声が自然と大きくなってしまったりして・・・失礼しました。
いやぁ、まさに、舞台の上も客席も、耐久レースといった感じ!
・・・かとおもったら、「おもしろかった」と
いってくださった方もいて、少々救われた千秋楽でした。
原作が非常に面白く、
わたし自身が演じたアイリーンという役に、愛着を持てたことは
本当に幸せなことでした。
稽古場はバトルさながらでしたが、
その甲斐あってか、台詞を迷うことなく口にできたことは
当たり前ではありますが、よかったと思います。
時には戦うことも大事ですね・・・
小道具や衣装、髪型などについては演出家の中ではノープランだったので
自由に選ぶことができました。
髪型はダイアナ妃を目指しましたが、私の髪質では
どうしてもゲゲゲの鬼太郎になってしまい
それを解消するべく前髪を上にあげると、
今度は山下達郎になってしまって、今回も、わが剛毛を憎みました。
さて、今回の公演は一人芝居3本立てということで
私がトップバッター、そのあとに、
大和琢也さん、米倉紀之子さんと続くのですが
何度聞いても目頭が熱くなるセリフがありました。
それは、紀之子さんの『フットドクター』最終章にでてくるセリフでした。
『私は、なにかを実現しようと頑張ったことがないんです。
物事は、起こるか、起きないか、です。
ということは、起きないということです。
でもいまは、起こっています、なんとなく。』
この主人公は、兄の介護をする生活を送っています。
家族の介護を強いられた人が、私の周りにもたくさんいますが、
たぶん彼女は、介護が始まったその日から
自分の自由な時間をあきらめ
夢とか、目標とか、希望とかを
無意識に考えないようにする習慣が
身についてしまってたのでしょう。
そんな彼女の前に、すっと新鮮な風が吹いた瞬間を
私は楽屋にいながら、いろいろな思いで観て、いや聞いていました。
(のちに、この作品を観た家人より、違う解釈を聞いて
ビックリ&感心しましたが・・・・)
公演を遠路はるばる観に来てくださったお客様と
公演後に飲んだのですが
そのとき、彼女が障がいを持った自分の子供の世話を
30年以上続けてきたことを知り、
そしていま、熟年になって、やりたいことに挑戦しようと
シニア演劇を始めたことをきいて、
それぞれが抱える家庭事情を乗り越えた夢を
私も、しっかりサポートするお手伝いができればと思いました・・・・
楽屋にての写真。
・・・・最後の舞台に立つ前に3人で撮りました。
これ、1畳くらいの楽屋なのです。
せまかった~~~~。
早替えの時、ごちんごちんと、そこらじゅうにぶつかりましたよ。
プログラムが交互に変わるので、毎回衣装を片付けるのですが
ネズミに遭遇しなかったことが、不幸中の幸いでした!
楽屋見舞いのお花を下さったのは、
ポランと春が生まれたばかりの時に保護し、
体力が回復するまで見守ってくださった女性です。
譲渡先の私がこんな稼業で驚かれたことと思いますが
いまこうして、お花に戯れる二匹を見ることが
私の癒しです。
(あ、先住猫も、もちろんですが。)
とにもかくにも、
ご来場くださった皆様には
心から感謝申し上げます。
次へ向かって、また地道にコツコツと行こうと思います!
ありがとうございました!
Trackback(0) Comments(0) by 鯨エマ|2015-10-16 02:02
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