はい、全国シニア演劇大会のレポート第3部です。
6月9日は、けっこう楽しみにしていた日でした。
1本目は奈良県のらくらく演劇塾さん。
今年は群読でした。
映像も駆使しておそろいの衣装で頑張っていましたね。
一昨年が面白いコメディだっただけに若干パワーダウンという気もしましたが
井上ひさしさんの作品・・・メッセージぎっしりの作品でした。
一昨年の舞台を見ているので
お一人お一人の成長が、なんだか微笑ましかったです・・・
これが、その、らくらく演劇塾さん。
2本目は、お待ちかね、福井の劇団ババーズ!!!!!!
今年90歳の松浦さん、もう鉄板ですけど
今年は主役の方もすごいパワフルで、
最高でした。
平均年齢が80を超えていますから、来るだけでも大変なババーズのみなさん。
リハも体力消耗しないように、ちょこっとだけ。
終演後の劇団インタビューでは、私が「一昨年会いましたよね。」
といったら、「わたしと?あんたが?あったことあるんかい?」
とか言われて、会場爆笑でした。
なにやっても笑える・・・・・
帰り際、一緒に写真を撮ってもらっちゃいました。
松浦さん、また来てね!
ババーズのみなさん!気をつけて帰ってね~~!
(バスの中までお見送り~~~!)
3本目は島根県の石見国くにびき18座さん。
今回「戦争」を取り上げた2劇団のうちのひとつ。
戦争体験者が一人もいないアトリエ劇研さんとは逆に、
戦中、がっつり青春時代をすごした方が数名いらっしゃいました。
手作りのカラフルな衣装でしたが、
銃を向けあうシーンは、みていて、客席で涙が出そうでした。
実際に戦争を体験し、大切な友達を失った人たちが、
こうして、後世に語り継ぐために、体を張って演技をしているのです。
最後のインタビューでも、涙ぐみながら胸の内を話してくださいました。
この胸の痛みを、くにびきさんたちは、全員で分かち合いながら、稽古を積み重ねてきたのです。
カーテンコールで、演出の金田さんが、花束をもらった時
私も「あぁ、やってよかった。」と、おもいました。
さて、この日の夜は2回目の交流会。
土日しか参加できない劇団が多かったため、
これが、打ち上げという劇団も多かったようです。
若者に負けないノリで、ガンガン飲んでました。
乾杯は、4日目に本番を終えても、この日まで残ってくださった
八丈島の劇団かぶつ、山下さん!!
おつかれさまでした!!
そして・・・・
スタッフの疲れもピークに達している6月10日、
最終日は石川県のAgクルーから。
この日は、この企画の当初から毎回呼ぶことになっていた
老人クラブの方たちが、初めて来てくださいました。
そして、出演者に山梨県出身の方もいらっしゃったので
同級生が見に来てくださったとかで、あたたかい客席でした。
こういう再会が、芝居の喜びのひとつですね。
ぎりぎりまで調整と稽古をしていた出演者のみなさんも、
手ごたえあったのではないでしょうか。
2本目は私の大好きな劇団の一つ、青森の笑劇さん!!!!!!
いぇ~~~い!
なのに、開場時間になっても客席ガラガラ?!
さっきの老人クラブの方たちは、夜はダメだと言って帰ってしまったのです。
これでは、せっかく青森から来た笑劇さんに、申し訳ない!
残念ながら、1年半の準備でも、こんなに空席がある、これが
「大丈夫です。」「(営業)やってます。」といっていた役所の仕事の結果です。
しかし、この期に及んではもう、一番発言力のある人にいうしかありません。
私、さっそく市長に「開演までの30分で、呼べる人全員に電話してください!」
と頼みました。
果たして、見た目、半分の客席が埋まった状態で開演となりました。
ふぅ・・・
期待通りの笑劇!
「お江戸でござる」がどうした!
こってこての着物と鬘で、舞台の上は無法状態です。
(ご本人たちは、大真面目だと思いますが・・・)
殿様(黄緑の衣装の人)が出番を忘れて、しばらく舞台が空白になるも
それさえ「OK!」といわせるバカバカしさ。
テッパンです。
あとで聞けば、客席を埋めていたのは、業務を途中で切り上げて招集された
役所の人たちだったそうです。
それでもいい、義理でも、付き合いでも、無理矢理でも、
「観る人がいる」ということが大事なのです。
採算なんか、2の次です。
30分の電話で、これだけ埋められるのに、
いったい1年半、なにをしていたのかと、
あたしゃあ、悲しくなりました。
これを機に、少しでも市長さんの心が動いてくれれば、
このイベントは無駄ではなかったと言えるでしょう。
さあ!
・・・オオトリは・・・・!
南アルプス桃源座の2回目の公演。
満席でした!!
「2日目おち」という言葉があるくらい
2回目のステージは油断禁物なのですが
桃源座のみなさんは、初日とは全く違う顔つきで
堂々と演じ切りました!
閉会式、客席全員スタンディングの三三七拍子で、締めくくりました。
帰ってゆく、お客様の顔と、達成感にあふれた桃源座の方々の顔が
印象的でした。
6日間を振り返って・・・・
東京にいる間、現地で動けないことがもどかしく、
いったい、チケットはさばけているのか
桃源座の稽古は進んでいるのか、
地元の新聞は、ちゃんと取り上げているのか、
などなど、「かんじゅく座」の稽古をしながら
気が気ではありませんでした。
私事ですが、こちらも、直前になって事務局が退職したこともあり、
引き継ぎに追われていたため、
5月に1~2度現地に行かなければと思っていたのが
できなかったのは、本当に悔やまれました。
そして、その不安が、現実となり、ガラガラの空席を見たときに、
私は愕然としました。
しかし、最後まで、一人でも多くのお客さんに観てもらいたい・・・
トイレで会った女性にチラシを渡し、
パン屋でチラシを渡し、タクシーに乗れば運ちゃんに話し、
ホテルのフロントでもチラシを渡す・・・
(トイレの女性も、パン屋さんも、タクシー運ちゃんも、みんな来てくれた、すごい!)
こういうのは、東京の演劇人なら当たり前で
いわゆる「手売り」で、客を集めるという、
この小さな積み重ねが満席への第1歩なのですが
これを、南アルプス市役所はやらなかったわけです。
「やっています。」という役所の人の言葉を
私が信じられなくなった出来事がありました。
大会も半ばを過ぎた日に
ある男性が「ボランティアをしたい」と、会場の受付にやってきました。
「いままで、コンサートなどでは手伝ったことがある。」とおっしゃるので、
私はロビー統轄をしていたスタッフに、
どこかのポジションに入ってもらってほしいと頼みました。
ただ、あまりきれいな身なりではなかったので
「お客様相手なので、もう少しきれいな格好でこられますか?」とたずねると、
「はい!」と答えて、すぐに、着替えて出直してきました。
この時点で私は、彼が若干、知的な障害を持っているということは
分かりました。
でも、充分にコミュニケーションをとることができ、
私の注意もすぐに聞いてくださったので、
一緒に受付をすることができると判断しました。
ところが、開場時間直前になって
役所の人が私のところにやってきました。
「あの人はなんですか?帰しましたよ。」
「え?!あの人、手伝いたいって言ってきたんですよ。」
「だって、あの人障害者ですよね。」
一瞬、わが耳を疑いました。
「障害者でも、きちんと話せて動けます。」
「じゃあ、なにかあったら、あなたが責任取るんですね。」
「とりますよ、とります。」と、いったって、もう遅い・・・・
彼は去ってしまった後、
私は追いかけるにも、もう開場時間・・・
これが、この演劇大会のなかで、一番かなしく、腹立たしい出来事でした。
ひとりの青年が、せっかく手伝いたいと言ってきたのに、
「だって障害者だから」という理由で、追い払うわけです。
こういう役所ですから、お客さんは集まらないのです。
この青年に、手伝ってくれたお礼に、芝居を見てもらえば、
青年も、劇団も、うれしかったのに・・・・。
「役所ってそんなもんだよ。」と、多くの方はいうでしょう。
そして、多くの人が「そんなもん」で、納得するようです。
しかし、私はまだ、そこまで腐っていないのです。
目の前で起きている、おかしなことに、「おかしい」ということ、
それをしなければ、かならずその皺寄せは、弱者に及びます。
閉会式の盛り上がりで、この事実を有耶無耶にしてはいけないと
私は打ち上げの酒を飲みながらも
帰りの電車の中でもずっと考えていました。
あの青年を傷つけたことが、この大会の失敗だったと私は思います。
でも、この大会を「失敗」に終わらせないために
きちんと「課題」にしたいと思います。
苦言で終わるのもなんなので、最後に・・・
初日に演じた我が子、「かんじゅく座」の写真ができました!!
はりきって、うたっております!
7月から稽古再開。
またがんばろうね!
ながなが失礼いたしました・・・。
スタッフさんたち、本当に1週間ありがとうございました!!
(左から照明の松丸女史、カメラの柳澤さん、映像記録の神吉さん、そしてワタクシ)
Trackback(0) Comments(2) by 鯨エマ|2013-06-15 23:11
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