けが人を出すことなく、千秋楽の幕をおろし、
いま、わが家は戻ってきた小道具やら衣裳やら
工具やら文房具やらで、玄関がとんでもないことになっている。
なかなか出来なかった衣替えを
この片付けと同時に済ませてしまおうと思う。
2本立て、39人出演という
小劇場とは思えない大所帯の公演も、
いつもと同じように、私の心にわびしさを残して過ぎ去ってしまった。
祭の後は、いつも心の隙間に風が吹く。
今回は、なによりも、セットを壊すときが一番悲しかった。
壊さないわけにはいかないのだが
家の話だっただけに、自分の家が、時間という波に
押しつぶされるかのようだった。
でも、その時間こそ、自分を前へ押し進めてくれるのだと信じたい。
劇場入りの数日前に
疎遠にしている父親が倒れ
偶然、次の日が稽古休みだったために、
病院にいくと、幼い日に見た祖父そっくりの、父親がいた。
今回の芝居「方舟は、飛沫をあげて」は、
まさに父に取材して書いたところが大きかったのだが、
倒れる前の週に、疲れた声で電話があったので
「どうせ来ないだろうけど、近況報告に。」と、
チラシをおくっってみた。
すると、珍しく観に来るという。
家族そろって(異母姉妹)予定をあわせてくるというから、
嵐でもくるんじゃなかろうか、とおもっていたが
昔から「ドタキャン」ばかりの人間なので
期待しないで待っていた。
そこに来た、緊急手術の電話だった。
もう、たぶん一生、私の芝居を観に来ることはないだろうなあと思うと
どこか、ほっとしている私がいる。
あなたは、何のために芝居をしているのか、
などと、たまに聞かれることがあるのだが
考えたこともない。
強いて言えば、自分のためか、
でもこれが、
時間を前に進めて行く方法かもしれない。
今回は、くわな君に絵をかいてもらって本当によかった。
この絵は絶対捨てないよ。
~本日のありがとう~
集客940人。
ご来場くださった皆様、ありがとうございました。
当日もっとも忙しい受付を仕切ってくれたM君、
月曜日まで返し物に動いてくれた舞台監督のH女史、
最後まで劇場バラシに携わってくださったスタッフのみなさん、
そして、私のダメ出しに耐えて
ときに勇気と喜びを下さった、かんじゅく座座員のみなさん、
ほんとうにありがとうございました。
Trackback(0) Comments(2) by 鯨エマ|2010-05-10 23:11
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