初日本番2時間前に現場へ行くと、ネクタイを締めたマリアーノが
トランシーバー片手に忙しく指示をしていた。
今日はさすがに彼も緊張しているのかな?
この道が、夜には通行止めになる。
そして、ライトアップされて、16人の生活が浮かび上がる。
そうとうきれいになるであろう、その舞台裏では、
こんなにたくさんのスタッフが働いている。
開演してからの2時間は思いのほか早く、
繰り返しの演技も新鮮な気持ちで取り組むことができた。
大変なのは、
キスシーンの二人、バイク事故で倒れている男性、
それから、ずっと筋トレを続ける男性だ。
彼らいわく、「鯨さんはずっと寝ている役だから楽ですねえ。」
まあ、寝ている姿勢ではあるけれど、
薄着で、予想外に現れた蚊たちと戦いながら芝居を続けるのは、
それなりに、それなりなのよ。
舞台セットはまるで下北沢に住む女の子の部屋のようで、
このセットを見たときに、私もイマジネーションを掻き立てられて
思わず家から小道具を持ち込んでしまったが、
大半は衣裳の有島さんがご自宅から持ってきてくださったもの。
この、使わないものがあふれている演技空間が、異様なほどリアルだ。
そう、本当に、私たちの生活は無駄があふれている。
モノ、ヒト、ジカン、オモイデ、
どれもこれもが無駄だけど、その無駄に支えられているという気もする。
同時に、無駄をよしとしない自分もいる。
ある高齢の方が言った言葉「人生は暇つぶし。」
ここまで達観できればすごいと思うが、
現実は執着との戦いである。
9つのシーンに見られるものは、
日常生活の中の無駄時間かもしれない。
観る方には、ひとつでもご自身と重なる部分を見つけていただければ、
どんな無駄に見える人生にもきらりと光る瞬間があることを
感じていただければ幸いである。
~本日のありがとう~
マリアーノ、ステキな役を有難う。
そしてこの企画の話を教えてくださった舞台監督の清水さん
いい出会いを有難う。
Trackback(0) Comments(2) by 鯨エマ|2008-10-04 09:09
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