視覚障害者用の音声ガイドを作り始めて5年。
といっても、自分の芝居と、劇団銅鑼さんくらいしか、
携わっていないので、経験は多くはないが
続けて利用してくださる方がいるのでそれを励みしている。
音声ガイドは、いわゆるテレビの副音声のようなもの。
しかし、舞台はテレビと違って、
最初から終わりまで観る事が大前提なこと、
大勢でいっしょに観る環境であること、
ライブであること、
などなどの特長を生かしてガイドを入れてゆかなければならない。
今回も、私が作成。
作業は殆ど芝居がかたまってからしかできないので
ちょうど、これくらいの時期からだ。
もどかしいのは、このスピード作業ゆえに
モニターを頼む余裕がないことだ。
本当にこのガイドで適当なのか、目が見えない状態で楽しめるのか、
試行錯誤の連続だが、
障害者によって、身体条件が違う以上、
全員を満足させることができないのはあたりまえのこと。
音声ガイドを作り始めたとき、ある障害者にこんなことを言われた。
「あなたは、自分の作品を全部理解して欲しいと思いますか。」
私は、否とこたえた。
分かってくれる人が分かればいいし、
観る人は、それぞれの視点で感じてくれたらいい。
「そうでしょう。
だから、僕たちもおなじように、
全部を理解できなくても満足しているんですよ。」
それでも、音声ガイドが必要かと聞かれれば、イエスと答えるのは
ノーといったら、多分全ての音声ガイドが無くなってしまうからだ、
とおっしゃる。
さらに、バリアフリーの作品を創ろうとするなら、
最初からユニバーサルデザインの作品を創ればいいのだという。
然り。
しかし、そういわれても私がユニバーサルデザインのものを創らないのは、
多分視覚に訴える効果を信じているからだろう。
目をつぶってみる。
声を聞いただけで、顔まで想像してみる。
作品の性格を壊さずに、
ガイドをつけるのは、作者である私との相談でもあるのだ。
Trackback(0) Comments(1) by 鯨エマ|2008-07-19 03:03
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)