今日は稽古が休みだったので、芝居を観に六本木へ。
吉行和子さん、主演の「アプサンス」。
この作品で彼女は舞台出演をやめると仰る。
そんな必要があるのか・・・?
と、舞台を観た誰もが思うだろう。
だが、ご自身の心の中である、区切りをつけられたわけで、
そこには同業者にも計り知れない様々な思いがあるに違いない。
わたしは余計なことは考えずに
大先輩の芝居をセンターの席で
拝見させていただいた。
吉行和子さん・・・といえば、
テレビドラマ「ふぞろいのリンゴたち」で
柳沢慎吾さんのお母さん役をなさっていたのが
一番印象に残っている。
あのドラマこそ、子供時代のわたしを震える感動に包んだ作品だ。
大人になったら、あんな甘く切なく、時にけだるい生活が
待っているのだと・・・・そして、
自分は手塚里美さんのような女優になるんだと、
心のどこかで決めていた。
ああ、はずかしい・・・・。
吉行さん演じるところのラーメン屋の女房は
だんなが亡くなった後、悶々とした日々を送るが
その後、店を手伝ってくれる中年男性が現れると
また生き生きと生活を再開する。
その、遠慮がちにも幸せに貪欲に生きる
中年女性の生き様が、とても印象的だった。
さて、今日の舞台で彼女が演じたのは
認知症に陥って病院で暮らす女性教師の役。
「この作品を最後の舞台に。」
という気持ちが反映されすぎて、
吉行さんにしかみえない、そんな舞台だった。
カーテンコールではたくさんの観客が
惜しみない拍手を送り、舞台の上の彼女に向かって
懸命に手をふっている人たちまでいた。
舞台の花が、これからは、きれいな押し花になって
みんなの心に残るんだろうなあ・・・・
でもやっぱりナマの舞台が見られなくなるのは寂しい。
わたしはこれから先、何回舞台に立てるんだろう。
作品にしても、100本は難しいだろう。
1年に2本としても・・・・意外と少ないんだな。
それに、人生どこでどうなるか、
いつ、ラストステージになるかわからない。
「ちゃんとやらなきゃ。」
Trackback(0) Comments(0) by 鯨エマ|2008-06-26 02:02
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