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[鯨エマの海千山千] 記事数:1742

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5年ぶりの炊き出し

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まさに、5年ぶりで炊き出しに参加。
新宿中央公園の広場は、花壇ができてしまい、
面積が半減してしまったので、
あの、5~600人の野宿者たちは
当時と同じように此処に集まれているのかと
心配だったが、18時少し前には
すでに、数十人の人たちが集まっていた。

あのころと同じ、新宿連絡会の中心を担う
笠井氏と稲葉氏、それにやはりうずっと活動を続けている
ボランティアの方々が、突然訪れた私と、
私に同行してくれた、かんじゅく座の女性M女史を、
気軽に受け入れてくださる。
M女史は次の舞台でホームレスを演じる。
その役つくりをかねての、今日の炊き出しボランティア。
彼女はタフで好奇心と冒険心を持った方なので
きっと、何百人というホームレスの人たちとのかかわりを
面白がってくださると信じて、お連れした。

3月に入り、寒さも和らいで
炊き出しを求めてきた野宿者たちも
出足は良かったのではないだろうか。
私も手が悴んでしまうことなく、作業ができた。
それにしても、5年前よりも行列の人数が減った。
炊き出し後のパトロールで、公園を中心に
声掛けをして歩くこと、1時間半。
ブルーシートのテントの数も減っている。
これ、ひとえに連絡会の方々の努力の結果なのだろう。

ボランティアに携わる人たちは
若い方から高齢の方までさまざまだ。
平日、それぞれの仕事をし、日曜の夜にここに集まってくる方がほとんど。
同じ都会に暮らしながら、
路上に寝そべる人たちを放っては置けない
問題意識を抱いてしまった人たち。
彼らの継続してきた力は、少しずつだが
確実に、実を結んでいるのだろう。

それにしても、「声を掛ける」というのは、素晴らしいことだと改めて感じる。
私ですら、一人暮らしの中で孤独に耐えられない思いをすることがある。
何らかの事情を抱え、路上生活を余儀なくされる人たち、
その事情は何であれ、人間としての感情は同じだろう。
連絡会の方たちが「こんばんは。」「体調はどうですか?」
と、掛ける声が、少しでも、寒さで固まってしまった
野宿者の心身に、届けば、いや、きっと届いている。

新宿中央公園のベンチは、新しく取り付けなおされているが
すべて、寝そべることができないように
ベンチの中央に肘掛もどきの衝立がつけられている。
みんなの公園なのに、この風当たりはなんだろう。
パトロールの最中、その公園に、ウサギを見つけた。
野宿者が飼っているという。
少し行くと、猫にえさをあげているおばさんがいて
周りには、ノラが集まってきていた。
一緒に歩いていた連絡会の方が
「今日はラッキーです。ウサギも見れたし、猫もたくさんいた。」
この動物は、みな、人間が捨てたのだ。
それが、ここ、新宿に同居している。
私たちも、野宿者も、このウサギや猫たちも、
そして、私たちを高いところから見下げている
都庁の役人たちも、みな、同じ新宿の空の下にいる。

なぜ、私たちはもっと賢く、生きられないのか。

いや、この連絡会の方たちのように、努力が実を結んで、少しずつでも
平和な日本にちかずいていると、希望を持ってもいいのだろうか。

パトロールのゴール、新宿駅西口地下で、解散し
私は家に帰るべく、地下道を急いだ。
行方のわからない私の姉は、いま、どんな屋根の下にいるのだろう。

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by 鯨エマ|2008-03-02 23:11

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