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[鯨エマの海千山千] 記事数:1742

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飴玉

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ある女優さんの紹介で、横浜桜座を主宰する飯田氏の指導している、
知的障碍者の劇団の稽古を見学させていただきました。

私自身は、副業で身体障碍者、知的障碍者、ともに接点があり
以前も知り合いが手伝っているという障がい者のアート活動を
何度か見学しているので、
未知の世界ではなかったのですが、
思いもよらないことが起きました。

この日は前の夜がほぼ徹夜で
超寝不足の状態で稽古場を訪問してしまったのですが
場所が横浜ということもあり、
長時間の外出になるため
授乳の必要な息子を連れての訪問となりました。

夫は在宅していたので任せることもできたのですが
彼も休日は勉強があり、
泣いてばかりの息子を任せるのは申し訳ないのです。
往路の電車内では、息子は爆睡してくれて
稽古場についたのが10時。
午前の間は授乳したり、抱っこしたりしながら、なんとか持ちました。

が・・・・

午後の稽古が始まるときくらいから
ぐずりが半端なく、抱っこしても泣く、オッパイあげても泣く、
私は稽古に差し支えないように、部屋の中と外を行ったり来たりしながら
だんだんと、7キロの体重を支えるのがつらくなってきました。
ただの7キロではなく、ぐずぐずと体をうねらせる、
例えていうなら釣ったカツオが体をうねらせるのを
必死でおさえるような状態ですから
体力に自信のある私でも、結構疲れるのです・・・

稽古では、障碍者の劇団員のみなさんが体を張って動き回り、
それを同伴の保護者の方々が見守っていました。
介助の仕事の時も感じることですが
障碍児の親御さんの熱心な姿勢には、頭が下がるというか
その明るさ、強さには、
彼らが、そこまでの道のりで本当に多くの苦難を乗り越えられたんだろうなということが
手に取るように感じられるのです。
そんな親御さんを隣に、私はたった一人の赤ん坊を手なずけられず、
稽古が終わった16時には、疲れ果てていました。

いざ、帰ろうとしたときに、外がザンザンぶりの雨だということを知り
疲労が一気に10倍に。
ロビーで送迎バスを待つ、障碍児と親御さんたちに挨拶した時の私の形相は
能面のようになっていたのだと思います。
午後、ずっと私の近くにいた親御さんの一人が
エレベーターに乗る私に駆け寄ってきて
「きをつけてね」といって飴玉をくれました。

飴玉の甘さに、緊張の糸がふっと途切れる・・・・・

余裕のなくなっていた自分に気づく瞬間でした。
この4か月でわかってきたことですが、
自分に時間の余裕、気持ちの余裕がない時ほど、
息子は泣くような気がします。
こんな寝不足状態で、バタバタと、他人の稽古を訪問すべきではなかったと、
反省しました。

飴玉をくれたお母さんは
ここまで何百回、何千回と、「いっぱいいっぱい」になったからこそ、
私に、どんな声をかけるよりも
飴玉がきくと、思われたのだと思います。
あまいものを口に入れたときに、ほっとする。
心が「ちょっと落ち着こう」と思える・・・・・
ふと、涙が出そうになりました。

なんだか、本当に皆さんに助けられていると感じます。
感謝感謝です。
いつかわたしも、これを誰かにお返ししたい、、、、、

Trackback(0) Comments(0) by 鯨エマ|2017-01-09 00:12

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