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[鯨エマの海千山千] 記事数:1742

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高齢者コミュニティ見学

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取材で、浜松の高齢者コミュニティを訪問。
いわゆる「老人ホーム」ですが、いまはそんな呼び方はしないようです。
創業40年という歴史を誇るのは
それなりの実績を持つということですが
ここは本当に、「老人ホーム」の概念をかえられるような場所でした。

老人ホームというと
どこか、社会から断絶された印象を持っている人が多いのではないでしょうか。
悪い言い方をすると「姥捨て山」的な場所。
社会で生産性の亡くなった人が終の棲家として静かに暮らす場所・・・・・とでもいうような。

でも、最近は、元気なうちにこのような高齢者の施設に入る方が多いのだそうです。
(入居時平均年齢は70歳、まだ若いっ!!)
そして、ここを住居として自立した生活を送る、
一般社会と違うのは「高齢者が寄り集まっている」という点だけですが
観劇にもいくし、買い物にも行く、旅行もする、
敷地内では農作業もできるし、スポーツジムもある、
様々なサークルに入って友達を作る、
仕事を続けている人も若干名いるそうです。
年間行事は数限りなく、入居者も飽きることがありません。
日々、様々な業者が出張販売に訪れます。

いよいよ、体が利かなくなった時に
介護棟に移動するのだそうで
なんというか、よくできているのです。

私もいままで、都内でいくつかの有料老人ホームを訪問してきましたが
最初に驚いた違いは
「走っている職員がいない」ということです。
都内ですと、とにかく職員、ヘルパーが忙しい。
人手不足を絵にかいたような目まぐるしさで
入浴の時間帯などは、入居者が申し訳ない気落ちになるんじゃないかというくらい
慌ただしいのです。
でもここは、誰も走っていない・・・!
一人の職員に対する利用者の人数(人員配置)に余裕があるのです。

私は事前に、この高齢者コミュニティに入居する、ある作家が書いた実用書2冊に
目ととおしていったのですが
書いてあった通り、「寂しさ」「暗さ」はありませんでした。
そして書かれていたとおりに納得できる点がもうひとつ。

「値段がものを言う」

正直、初期費用も月々の支払いも、はらう金額はハンパないわけです。
私を案内してくれた、私と同世代に見える職員の方が
「いまの70代なら年金が充分にあるから可能ですが、
私たちの世代は・・・・どうでしょうね」と苦笑なさっていました。
このゆとりある住環境は、お金で買うもの。
そこまでの仕事、会社が、ほぼ老後を決めてしまうのか・・・・・
それはそれで、切ない話です。

私は今回、40年前にそこに入居していた方のことをしらべたくて
出向いたのですが、
40年前は、いまよりもっともっと高額だったそうです。
介護保険もない時代、そして、なによりも老人ホームのイメージは
私が先に書いたような「姥捨て山」的なものが主流でした。
だから、こういうホームに入るというのは
並々ならぬ経済力と、決断力が必要だったと・・・・・

そして当時はたぶん入居者同士の横のつながり、
つまりコミュニティも、いまほど盛り上がってはいなかったのではないでしょうか。
ここまで40年の中で
さまざまな入居者からの要望、問題、事故を経て
きっと、いまの形があるのではないかと、思いを巡らしました。

もうひとつ、印象的だったこと。
私はこの食堂で昼食をいただいたのですが
味付けが薄くない。
たとえば、私がバイトをしているグループホームでは
福祉食といって、量も少なければ味付けも薄い、
慣れない人には、なんとも味気ないのですが
ここは、量は各自の希望に調整でき、
味付けは普通でした。
日によって、豪華なメニューを特別料金で注文で着たり、
全国各地からの直線品がふるまわれる日もあるそうです。
もっとも「自立型」ですから、
ここで食事をするのも自由で、
各自の居室で自炊する人もいるとか・・・・・。
食は毎日のことなので、充実しているに越したことはありません。

私はまだ40代なので
こういうところで過ごしたい、とは思いませんが
今日も続々と訪問していた見学者、体験入居者の様子を見ると
みんな、まだまだ元気なうちに
老後の準備を始めており、こういう場所が
選択肢になっていることは、当たり前のことなのだと思われました。

そうはいっても、入居は非常に大きな決心が必要でしょう。
それまで住んでいる土地を離れる勇気と
膨大な断捨離を伴う引っ越し作業が必要です。
そのような、人生の大きな節目を経ての、ここでの生活なのかと思うと
ここでつくられる人間関係は、重厚な人生の交差する
崇高なもののように感じられました。

帰りのバスにゆられること50分。
浜松駅から新幹線で1時間半。
到着した品川駅は、混み合った駅の構内を
電車めがけて走る人で、いっぱいでした。
所狭しとならぶ土産物屋、売店。
こういう時間と競争に追われた生活が、なんだか異様に見えてしまいました。

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Trackback(0) Comments(0) by 鯨エマ|2016-05-27 00:12

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