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[鯨エマの海千山千] 記事数:1742

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ベンツの凄さがわからない

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22時の事件。

夫と夜の大久保通りをチャリ走行中、
路駐しているベンツの横をすり抜けようとした私。
大久保通りは狭いので車道側はこわくて、
歩道側、つまり、すんごい狭いところをすり抜けようとした。
後ろを走っていた夫が、ベンツを察知し、
「やめとけ」と言ったが早いか遅いか、もう私は止まれなくて、
はい、ご想像通り、私のチャリの右ハンドルと
ベンツの左ミラーが接触したわけ。

「あ、やべ・・・・」
そこで、そのまま走ってしまおうか否か、
瞬間迷って、止まってしまった私・・・・。
あほな私は律儀に車内に向かって謝ってしまったら
な~んと、中から出てきたのはちょいガラ悪のアンちゃんで、
同じような匂いを漂わせている女が助手席に。

アンちゃんは、素早く車から降りてきて、
これ見よがしにミラーをチェックすると
ついたかついてないかわからない程度の傷を指さして
「どうしてくれる?」
・・・・とはいわなかったけど、そんなような片言の日本語を口走ったのです。

なんとも、大久保らしきシチュエーション。
ここから、言葉の通じにくい相手とやり取りをすることになるのか・・・・
こうなったら、もう、おとなしく平身低頭に行くしかない。
いざとなったら110番か・・・・
と、思ったとき、アンちゃんのほうが110番した。

オマワリを待つ間の夫の顔の怖いこと怖いこと・・・・
「だから高級車の横は、通るなって。ベンツだよ、ベンツ!」
だって、高級車かどうかなんてわからないんですよ、私は。
だいたい、車に興味がないので
乗用車とトラックの違いくらいしか分からない。
区別できるのはワーゲンとジープだけ。
あとは色で見分けるのみ。

そもそも、このベンツ、なにをもって、高級なんですか?!

・・・・と思って、しげしげと眺めてみたら
ちょっと変なところにライトがついていて
あとは、例のマリファナみたいなマークが鼻先についている。
しかも、私は後ろからこの車を観たわけで、
マリファナマークだって見えやしないし!!!!
「わかるだろうが!」と夫。

だめだ、完全に怒ってる。

まもなく若いオマワリが来て、双方の事情聴取。
ボールペン筆記なら早いんだろうけど
おぼつかない手つきでコンピューターに打ち込みしているので
ノロノロと、ちっとも進まない。
肌寒いわ、お腹がすくわで私もイライラしてきた。
やっぱりにげりゃあ良かったなあ、なんて後悔しても仕方がない。

さて、ここでオマワリが間に入って連絡の仲介をしてくれるのかと思いきや
「あとはお互いに連絡先を交換していただいて・・・」

なぬ?!

相手は見るからに、見るからに、●●●のぼんぼんですよ!!
電話番号教えるの?!
またしても、役に立たないオマワリにカチンときた私。
バカな私じゃ危険だと思った夫が、自分の番号を教えてしまった。
そして相手はさっそく「●ったくり」バリの弁償交渉をスタートさせた。
「ええと、保険会社を通していただいてですねえ・・・」
なるべく直接のやり取りを避けたい私たち。
っていうか、車持ってる人は必ず保険に入ってたよね、
それくらいは、私も知っている。
ボラれることは避けられるはず。

するとアンちゃん、目つきが変わってきた!
「ほけんかいしゃ?とおさないよ、まえもそうやったよ」
ここで、役に立たないと思っていたオマワリが、やっと抵抗を始めてくれた。

で、ここからは不毛な押し問答があって、
結局「もっと、うえのヤツつれてこい!」というアンちゃんの命令に従い
同じような背格好のオマワリ2号が登場。
そしてもう少し激しいやり取りになって、アンちゃんとオマワリ2号はついに
胸ぐらをつかみあうところまでいってしまった。
その瞬間、アンちゃんの口から出てきた言葉に驚いた。

「おかあさん、よんでやる!」

マ、マザコンか、お前は・・・・・
たぶん私は口を開けて、なすすべなく観ていた。
周りにはどんどんと野次馬が集まり
写真を撮るわ、冷やかすわ・・・・・ほんとに、暇人ばっかりだ。

さて、接触から1時間半。
私たちは、不毛な押し問答を続けるアンちゃんとオマワリを
その場に残して退散した。
アンちゃんの怒りは頂点に達するも
もう、彼自身、何に怒っているのか、引っ込みがつかないような興奮ぶりで
我々が眼中にあったのか、なかったのか、
難なくその場を去れたのだ。

番号を知られてしまった夫の携帯には、まだ電話は来ない。
いやがらせの電話くらい来るかと思ったが
まさかあのまんま、逮捕でもされただろうか。

「財布の中、みた?すごい、こんな札束入ってたよ」
免許証を出すときに夫が見たのだという。
お金が尽きて、お母さんが亡くなってしまったら、
アイツはどうやって生きていくんだろう。
大きなお世話だろうけど、
私はなんとなく、あのアンちゃんと、そんな男に惚れてしまった女が哀れになってしまった。
そして、アンちゃんが信仰している「おかあさん」に思いをはせてみた。
その「おかあさん」は、息子に喜んでほしくて
お金を与えているのだろうか。

私はベンツの凄さがわからない人間だ。
交通費節約のためにチャリに乗っている。
他人は、「どうせなら電動自転車にのれば?」とかいうけれど、
電気代をかけることができない。
「危ないから」と、電車をすすめる人もいるが
1か月の交通費を考えると恐ろしくて、ペダルをこがずにいられない。

でも、なんかそれでいいと思っている。
他人からみると、私が芝居や映画を創るために
何百万も使うのは、もったいなく見えるのかもしれない。
「究極の道楽ね」と半ば揶揄されたこともある。
しかし、なんかそれでいいと思っている。
こんな私に育てられる子は、どんな人間になるのだろう。

Trackback(0) Comments(1) by 鯨エマ|2016-05-23 22:10

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