5月10日、かんじゅく座の第9回公演が幕を下ろしました。
仙台大会での再演があるので、厳密にはまだあと1ステあるのですが
かんじゅく座としては、年度末最大のイベントがおわり、
ほっと一息というところです。
昨年の夏ごろから、日本や世界の政治の動きをみつめながら
「戦争をテーマにする」「反戦の芝居を創る」と、
いいつづけ、半分近い反対意見の人を説得しながら
稽古をしてきました。
最後はもう、賛成反対などと考えるよりも
セリフを覚えたり、振りと歌をおぼえることで、
必死だったかもしれませんが
座員たちも少しずつ意識が変わったのではないかと思います。
お客様の反応は概して良く、
帰り際に、知り合いではない座員にも
「また来年来るからね!」と声をかけるほど盛り上がる方が
多かったのは、予想外でした。
お客様の立場になって考えてみれば、チラシを見た時点で
このようなネタに興味のある人しか来ていないということかもしれません。
東京新聞を読んでいる方が、記事を見てたくさん来てくださいましたが
反安倍の人が見れば賛同するにきまっているような内容だし
戦争のネタというのは作品として批判しにくいところがあり
私の耳まで、なかなか評判がはいってこないだけかもしれません。
今後は無関心層に、どう見てもらうか
ということも考えてゆかなければならないし、
目下のところは仙台公演で、東北の方たちの前で
この作品がどうみられるのか……興味が尽きないところです。
さて、4日間の公演が終わり、
今回、とくにうれしいことがありました。
それは、お客さんゼロという人がいなかったことです。
演劇はお客さまがいなければ成り立ちませんが
自分を応援してくれる人、支えてくれる人が存在するということは
励みになります。
公演後、みんながお客さんから鼻をもらっているのを横目に
一人さびしく楽屋を片付けている人がいなかったというのは、
私にとっては一番うれしいことでした。
座員たちは、家族を抱え、仕事を抱え、家事や保育や介護を抱え
そんな生活の中で演劇を練習しています。
稽古から本番まで膨大な時間をさけるのは
本人の努力だけでなく、ご家族や仲間の協力があってこそなのです。
そして、その家族や仲間が、晴れ舞台を見に来てくれる・・・・・
それこそ、どんなに疲れていようが、頑張ることができる
唯一の原動力と言っても過言ではないと思うのです。
この一年を振り返っても、かんじゅく座は様々な局面に当たり
乗り越えるべき事柄がいくつもありました。
心身ともに、挑戦しなければならないこと
自分の信じることを変化させて、他人と同調しなければならないことが
あったと思います。
わたし自身も、たくさん、そのようなことがありました。
10周年を目前に、試練の時だなと思っていました。
それでも、こうして東京公演を終えてみて、
打ち上げでの座員たちの表情を見て感じることは
続けたからこそ、投げ出さなかったからこそ
得られた充実感、達成感、そして
それを共有することができる仲間という存在を
全身で感じることができたかなと思うのです。
この写真は、公演が終わって、舞台セットをかたづけてしまった後の舞台です。
この素舞台を見るとき、演劇の不思議を感じます。
ここに街があった、ここに時代があった、ここに社会があった・・・・
大げさに言えば、私たちの創る「世界」があったわけです。
そこには、未来への希望があったはずです。
そういう場に、普通なら「老い先短い」と考えてしまいがちな
高齢者たちと共に居ることができたことが
何とも貴重な瞬間だったと思います。
22日から仙台大会に向けた稽古が始まります。
4日の稽古のうち、2回は実寸で稽古をします。
さて、4倍も広い舞台で、私たちはどれだけ走ればよいのでしょう。
とにもかくにも、体力勝負!!
皆様の応援、どうか、よろしくお願いいたします!!
Trackback(0) Comments(0) by 鯨エマ|2015-05-14 23:11
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)