かんじゅく座の次回公演は反戦もの。
稽古場では毎回、作品にどう取り組むか、
現代社会の流れを考えながら、
なるべくたくさんディスカッションを重ねてゆきたいと思っています。
このテーブルワークが非常に大事なのです。
いいわけではないですが、まだ台本を書きあげていない今だからこそできる、
貴重な時間なのです。
かんじゅく座は60代、70代の劇団ですが
この世代は奥ゆかしさを求められた最後の世代と言ってもいいでしょう。
政治・宗教の話はタブー、
雰囲気を壊さないようにがんばる、
独自の意見は押し隠す、
村八分を恐れる・・・・
それは、世渡り上手のように見えて、実は、
表現者としてはかなり面白くないわけです。
演劇界の諸先輩方から習った、演劇人の作法とは
昨日、殴り合いになるくらい対立しても
今日、ちゃんと一緒に芝居つくりに勤しむ、という姿勢でした。
つまり、自分の意見を持つこと、発言することに何の躊躇もないわけです。
相手が自分と違う意見であることを面白がれる体質、
これ実は、一般社会ではかなり難しいことのようですが
やはり、当たり前のことであってほしいと思います。
身近に自民党大好きというオバサマがいました。
話を聞いてみると、
「90代の両親合わせて、すでに億を超える年金をもらっている。
こんないい国はないでしょう?」とおっしゃるのです。
なるほど、そういう感覚は渡すにはありませんでした。
意見の違う人に、勉強させてもらった瞬間でした。
さて・・・
先日の稽古で「集団的自衛権で、なんで戦争に結びつくの?わからない。」という60代の女性がいました。
さすがに驚きましたが、いや、意外にこれが大半なのかも見知れないなと
思いました。
芝居の路線は、反戦ですが
作品自体は、思想の押し付けというより、
「考えるきっかけ」になる芝居に仕上げたいと思っています。
60代、70代の座員たちが、ご隠居様におさまらず、
こうして質問をしてくれることに、一縷の希望を感じます。
聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥、とはよく言ったものですが
公演までの数か月で「無関心」から「関心」に変わってもらえればしめたもの。
話し合うことは本当に大事です。
話し合えば、お互いの習慣や考え方に違いがあっても
話し合いの土壌ができるわけです。
いろいろな人がいることを、認め合える。
これ、社会のあるべき姿なのではないでしょうか。
「村八分」なんて、ありえないのです。
テーブルワークが終わって、立ち稽古に入っても
どんどん意見を言って、話し合ってゆきたいです。
そして、創作っておもしろいな、と、感じてくれれば嬉しいです。
Trackback(0) Comments(0) by 鯨エマ|2015-01-11 00:12
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