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[鯨エマの海千山千] 記事数:1742

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演劇人のためのバリアフリー講座②

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あまりに、日が経つのが早くて、おっつけないでいる鯨です。
3月20日のレポートを今頃します。

演劇人のためのバリアフリー講座、2回目のゲストは
菊地祐子さん(弱視)と、石川絵理さん(聴覚障害)でした。
ちょうど、劇団銅鑼さんのバリアフリーサービスが終わったばかりだったので
公演のDVDをお借りして、実際に劇場でやったことを再現しました。

まず、最初の8分は、映像を見ないで音だけ聞いて、
私の音声ガイドをイヤホンで聞いていただきました。
その次の8分は、音声を消して、映像だけ見て
私の作った「観劇オタスケ台本」を頼りに感激していただきました。

参加者のみなさんは、演劇を、映像と音声のセットで観劇しているため
「音なし」「映像なし」の状態に、驚いていらっしゃいました。
「これで、わかるのかな?」というのが、正直な感想ではないでしょうか。

8分8分の体験の後で、DVDをはじめから、ふつうの音あり、映像あり
の状態で見直していただきました。
とくに、映像なしで副音声をききながらの観劇は
想像しているのと、実際の舞台がかななり違うというかたが、ほとんど。
私のバリアフリーサポートについて、菊地さんと石川さんから
感想や意見をいただき、
それを、参加者の皆さんと共有しました。

私にとって、聴覚障害者の方のサポートは初めてで、
今回、ほとんどの時間を「観劇オタスケ台本」作成に費やしたのですが
写真などを駆使した点は、よかったようで、ほっとしました。
「台本」というのは、演劇をやっていない人には読みにくいもの。
でも「あらすじ」ではものたりない・・・という方には
ちょうどよい、観劇サポートになったようでした。

音声ガイドのほうは、毎度のことながら
音楽が盛大に流れるシーンや、セリフの多いシーンのフォローに
苦労しましたが、菊地さんには、ほどよい分量のガイドだったようです。
劇場では、ムーブメントの部分が分からないという苦言もいただいたのですが
今後の課題ですね・・・・

講座では、私がやっているバリアフリーサポートの
ギャランティについても正直にお話しました。
過去に、私が個人の方に発注したとき
音声ガイドだけで40万円といわれ、
これでは、どの劇団もガイドをつける気にはならないだろうと思って、
自分なりの低価格を設定しました。
ガイドに4万円、機材に1万円、当日のオペレーションが
1公演4000円です。
準備にかける時間を考えると、かなりの破格ですが
障害者のお客様は少ないので、これでも劇団にとっては
大きな出費(赤字)になっていることでしょう。
今後は、やはりもっとサポートを充実させ、
もっと、様々な障害を持ったお客様を
劇場に招くことができる可能性を広げてゆかなければ
先はないと思っています。

講座の最後に、補聴器のリオン株式会社のYさんが、
補聴器や磁気ループ、骨伝導についての説明をしてくださいました。
視覚障害者と違って、聴覚障害者は見た目にわからないため、
うっかりサポートを忘れがちですが
日本には、加齢による難聴者も含めると、
2000万人の聴覚障害者がいるのだそうです。
きこえづらい、みえにくい、という理由で演劇映画から遠ざかってしまうのは
ちょっとさびしいですよね。
少しでも長く、楽しんでもらえるように、
バリアフリーサービスは、劇団、劇場、
そして意見をくれる障害者の方々と一緒に
取り組んでゆく問題だと思います。

次回のバリアフリー講座は、車いす利用者についてのサポートを考えてみたいと思います。

Trackback(0) Comments(0) by 鯨エマ|2014-03-29 21:09

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