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[鯨エマの海千山千] 記事数:1742

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煩わしさの積み重ね

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携帯電話の契約件数が人口を上回る一方で、
日本の2010年の飢餓死者の数は36人。
その死者のうち、
7割が40~60代、
8割以上は男性で、
11人(つまり3分の1くらい)は、関東圏内。

都心に住み、たくさんの情報の中から
目下必要なものだけ選び
顔も名前もしらない方から手紙やメールをいただき
不特定多数の方に向かって自分も情報を配信する、
そういう毎日を送っていると
単純に「絆」を深めろと言われても
知らないうちに広がってしまった深くない人間関係の中で、
絆などあっただろうかと呆然とすることがよくある。
親族、恋人はさておき、
血のつながらない絆を実感できている人が
どのくらいいるだろう。

器用に、選ぶ、切り捨てる、ということをしなければならないらしいが、
せめて、顔が分かっていて、日常的に会う人間に対しては
友情も思いやりも諍いも、ひっくるめて
関係性を積み重ねてゆきたいと思う。

志を同じくする集団に属そうかどうしようか悩んだとき
一番ひっかかったのが
「所属」にまつわる人間関係の煩わしさだった。
そこには伸び伸びしたおおらかな志とともに
時間やお金に制約された約束事や
目に見えない感情の縺れや、それぞれが持つ常識観念がある。
いま、そういうことに耐えられるだろうか・・・と考えたとき
昨年、ある島の方と話して感じたことを思い出した。

その島の特産品でもある焼酎を、都心で売ろうという話になった時のこと。
酒税の手続きのため、話がどんどん複雑になっていった。
リセットして、もう少し仕入れのルートをシンプルに
手っ取り早い方法を考えたとき、
島の方から「それならできない」という話になった。
「島は狭い。みんな知っている。
いろいろ面倒だが、やはりあの店から私が買わないことには・・・」
結局、そこまで複雑な手続きをすることに、恐縮され
話はきえてしまった。

この方からは、それまでにも
集団の活動について、「島は大変で」「みんな知ってるから面倒で」と、
半ば笑いながらお話を聞くことがあった。
ところが、彼らの活動発表を見たとき、
あまりに素晴らしかったのと、
そのまとまりの良さに、びっくりしてしまった。
これも、「大変」で「面倒」な人間関係が
ものすごい化学反応を起こして出来上がったものだろう。

孤独に陥り、他人の孤独を無視し、
孤独を当たり前と思ってしまう東京に、
「絆」という言葉はなかなか浸透しない。
口先だけ、または口にするのもこそばゆいのかもしれない。
でもこの絆は、急にあらわれるものではなくて
煩雑な、面倒な、ややこしい、人間関係を
あきらめることなく、切り捨てることなく、積み重ねた結果、うまれるもの。

人間関係に無理はしたくない。
でも、たまには無理できるくらいの余裕を持ちたい。
これも、もちつもたれつで。

飢餓死者36名などという平成に信じられない現実を打破するのは
国の力でも、超大金持ちのオッサンでもなく
自分にできる程度の、目の前の小さな積み重ねから始まる、のかも、ね。

~本日のありがとう~
未開拓地への挑戦は、いろいろな方の知恵を借りるばかりです。
先輩の皆様、アドバイスをありがとうございます。

Trackback(0) Comments(4) by 鯨エマ|2012-02-26 13:01

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