新宿はど真ん中、靖国通りに面したトップスビル。
ここの1階で、今日は舞台監督さんと先日の公演の
最終決算のため、待ち合わせた。
たまには違う喫茶店に行こうかなと
早く着いてしまった私はフラフラ歩き回っていたが、
めぼしいところがなく、結局トップスビルの前に来てしまった。
すると、表に大きく張り紙が。
なんと、6月28日をもって、このビルの飲食店全てが閉店するという。
4階の劇場は、すでに春先、
最終公演の幕を下ろしていたが、まさか、
他の飲食店までが・・・!?
ここには、ありとあらゆる思い出が詰る。
劇場、シアタートップスには、2度ほど出演したが、
自分の主宰する劇団で、ここで芝居をうちたいと、何度も門戸を叩いた。
身の程知らず、だったと、今は思うけれど、
当時の支配人Sさんが、やせこけた私を見て
(これはもう、十年以上前の話)
哀れに思ったのか、芝居の話はいいからと、車に乗せられ、
小料理屋に連れて行かれた。
「沢山食べなさい。」といわれ、それでも、緊張していた私は
食べるどころではなく、否、食べることよりも、
「芝居をやらせて」という思いが先に走って
1品しか食べることができなかった。
今でも忘れない、ウニを湯葉で包んで揚げたもの。
むちゃくちゃ高級な味がした。
それから、
8階のカフェユイットは、
知人の編集者に教えていただいて足しげく通った。
ここのインテリアが大好きで、
大事な取材や打ち合わせは、
ここに来てやるとうまく行きそうな気がしたので、
随分利用した。
いま、同じ事務所にいるKちゃんに出演交渉したのも、
映像冊子の取材場所に指定したもの、
父からの分厚い手紙を広げたのも、この店だ。
1階のビアホールは、(これも十年以上前の話だが)
4階で芝居をした後に、ひとりで自棄酒を飲んだところ。
芝居の悩みではなくて、失恋の痛手で・・・。
大好きだった人が女を連れて私の芝居を観に来たことがわかり、
大いに落ち込んだ。
たいして酒に強くもないくせに、アホだったわ・・・・
6階のバーは、劇団にいたころ、先輩に連れて行ってもらった。
オシャレなバーで、とても居心地が悪かった。
この先輩は先日、芝居を観に来てくださった。
1~2階のカフェは、なんども打ち合わせで使った。
かならず、演劇関係者と鉢合せしてしまうからなるべく避けたかったのだが、
ここ以外、いい店がない、というのが、利用していた理由。
そんな、トップスビルが、今月28日を持って閉店する。
新宿には、もちろんたくさんの劇場とか喫茶店があるが、
新宿でこれほど、思い出の詰ったところはない。
今日は、たぶん、ここを利用する最後の日だろう。
いろいろ思うところの多かった芝居のあとに、
ふさわしかったような、重すぎたような・・・・
形あるものは全てなくなる・・・
と、普段から思うようにしているが、
さすがに寂しい。
このあと、どんな建物が建つのか、
半ば恨めしくもある、が、
またきっと、私も慣らされてゆくだろう。
~本日のありがとう~
夕べ、私の燻った悩みに長電話で付き合ってくださったF氏、
ありがとうございました。
大人にならなければ・・・。
Trackback(0) Comments(2) by 鯨エマ|2009-06-26 17:05
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