演出家と出演者と面会。
あたらしい芝居をするときには、かならず、新しい出会いがある。
特にうちの海千山千は、プロデュース公演というスタイルを
守っているので、基本的に、その都度一回きりの座組みとなる。
この人集めが意外とたいへんだ。
お客様を集めるのももちろん大変だが、
一緒に心をひとつにして同じ方向を向いて歩いてくれる人をつかまれるのは
わかいころならともかく、
私くらいの年齢になると、それぞれに価値観、生活上の優先順位、
好みが強く左右し、
よばれたらどこにでも・・・というわけには行かなくなる。
今回は、スタッフを集めるのに、少し時間がかかった。
理由は、「そのとき、他所で本番中。」というもの。
みんな、いたるところで芝居をやっているのだ。
以前はオフシーズンというのがあったような気がする。
たとえば、4月、年末年始、そしてお盆。
この時期は劇場も安くなったりして、
お客さんの入れにくい時期、とおもわれていた。
それが今は違う。
いつでも劇場は、借り手で満杯だ。
特に小劇場。
儲かっていらっしゃるかどうかはわからないが
それでも、需要は年がら年中、たえることがないようにおもう。
その証拠に、劇場の予約は1年半前が当たり前。
いま予定している芝居が、稽古に入っていないというのに、
もう次の小屋を押さえなければならないという、
よくわからないことになっている。
さあ、これだけ芝居だらけなのだから、
世間でもさぞかし、ブームとなっているだろうと思いきや
芝居を観にいっている人の半分くらいは
芝居をやっている人なんじゃないかと思うくらい、
内輪のお祭になっているのがほとんどだ。
そういう互助会的演劇界に、ちょっと前までは嫌気がさしていた。
一般の客の前でやってナンボよ!みたいな・・・。
しかし、こう不況が続き、自殺がふえ、
理不尽な凶悪犯罪の溢れる昨今、
演劇をやっているものだけでも、
演劇で元気になっていられるのなら、いいじゃないかと・・・。
広げよう、儲けよう、もいいけれど、
なによりも、やっている者たちが
健全に、継続的に取り組めることが第一なんじゃないかと思う。
で、そのために、劇場はもうちょっと安くなって欲しいなあ、なんて。
演劇の本数を減らして、もっと時間をかけてやる風潮になって欲しい、なんて。
「ぴあ」には、演劇のページをもっとふやしてほしいなあ、なんて。
もちろん、それぞれ事情があるのはわかっているけれど、
弱小演劇人の小さなつぶやきでした・・・。
~本日のありがとう~
今日もかんじゅく座に見学の方がいらっしゃいました。
興味を持ってくださり、ありがとうございました。
by 鯨エマ|2009-04-01 08:08
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