先日ヴィレッジヴァンガードで買ったほんのひとつ、
私にしては珍しく、いっきに読み終え
早く誰かに読んでもらいたいと、
今日もカバンに持ち歩く。
読んだあと、私は強い戸惑いを感じ
また、自分が本当に勉強不足のまま、
死刑廃止を唱えていたと思った。
その本は門田隆将氏の
「なぜ君は絶望と闘えたのか~本村洋の3300日~」。
あの、山口県光市の母子殺害事件で
全国の誰もが顔を知ることになった、遺族、本村氏の
9年の戦いの記録だ。
何が発端だったか分からないが
私は20歳くらいのときから、死刑についての本をたびたび読み
過去の凶悪犯罪者、冤罪、ひっくるめて
死刑の意味するところを考えていた。
幼少時代からキリスト教の精神を植えつけられたせいだろうか、
どうしても、人間の更正能力を信じたいという気持ち
そして、社会環境の責任、聖書の逸話まで引っ張り出して
「死刑」が、犯罪の減少には結びつかないのではないかと
そこに、視点をもっていっていた。
被害者遺族の視点が確実に足りなかったように思う。
もちろん、被害者遺族の手記なども
いろいろな場で読んではいたけれど、
この本は、私の考えをガタガタと揺さぶった。
詳しくは、読んでみていただきたいが
本村氏の苦悩の記録と、
それを見つめる著者、門田氏が死刑判決を下された犯人Fと
広島の拘置所で面会するくだりは
いままでの私の価値観に大きな疑問符を投げかけるものだった。
裁判員制度の開始を目前に控え、同じように感心を持っている人は増えていると思うが、「知らない」ということはなにより怖い。広く命について考えることなく、裁判に参加することは、恐ろしい。この制度は、まだまだ考えなければならない問題を山積みにしているが、なによりも、制度が存在することをプラスにしていかなければならない。人間について、命について考える、大きなきっかけをくれるだろう。子供たちにとっては、自国にこのような制度があるということをわかった上で、勉強をしてゆくことになる。
それでもやはり「死刑」には、常に疑問符を抱く必要もあると思う。
大きなきっかけをくれた、重みのある本に出あった。
~本日のありがとう~
苦しみを伴いながらこの本を世に出し、
すべてを明らかにしようとした
本村氏と、門田氏に、感謝します。
by 鯨エマ|2009-01-21 12:12
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