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[鯨エマの海千山千] 記事数:1742

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楽園にて

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「楽園」とは、劇場の名前。
12月にここで、初めて芝居をした。
かつての渋谷ジアンジアンを思わせる
不思議な客席配置の妙な空間だ。
この、狭さと使いづらさが、私は大好きだ。

ここで、知人が演出する芝居があったので
拝見しに行く。

翻訳劇をみたのは久しぶりだった。
もともと日本人の顔で、メアリーとかアダムとか
呼ばれることにかなり抵抗感があって、
なかなか芝居に入り込めないので、あえて観にいっていないということもある。
今回も前半はぜんぜん入り込めず、
途切れそうになる集中力との戦いだったが
後半、姉妹の喧嘩のシーンになったとたん、
私の琴線に触れるものがあり、
そこからは、最後列の席だけど、「かぶりつき」で観た。
今考えると、別に芝居がうまかったわけでもなく、
長い長いセリフをひたすら喋り続ける演技は、
演技以上にはなりえなかったのだが
結局、最終的には、そういう技術的なところを求めるのではなく
私が共感できる「なにか」があるのかないのか・・・
そこに尽きるような気がする。

しかし、残念だなあ~~~

この主人公が「キャサリン」ではなくて、「きょうこ」だったら、
もっとググッと心に迫る芝居になっていただろうに・・・!
赤毛物に抵抗があるなんて、いまどき恥ずかしいけれど
やはり「キャサリン」はちょっと・・・・
終演後、演出の松本女史にあうと、やはり同じことをおっしゃっていた。
彼女の中では、日本に置き換えるという選択肢があったのだろう。

この、松本女史こそ、私が慕っていた、今は亡き
H先輩との共通の知人。
H先輩の死後、出会ったのだが
そこには、お会いしたその瞬間から
信頼関係に似た何かがあったように思う。
まさに、H先輩の遺してくれた宝物だ。
いずれ、一緒に芝居をする日が来ればうれしいが・・・。

芝居の率直な感想・・・
父親の存在というのは、大切なんだなと。
子どものころの、父親との関係性が
その後の人生を大きく左右するのだろうなあと
思わずにはいられなかった。
父の愛情表現は
物を買い与える、レジャーに連れてゆく、ということではなく
「親の背中」を見せる・・・つまり、存在そのものなのではないだろうか。
世には、シングルマザーで頑張っている方がたくさんいるし、
わが家もそれに近かったが、
やはり、二人揃っているに越したことはない。

H先輩は生前、お父様との関係性に非常に悩んでいらっしゃった。
彼女が病気になって、実家へ帰らざるを得なくなり、
そこからどうやってお父様とコミュニケーションをとっていったのだろうか。

劇場から外に出ると劇場の看板が目に入る。
「楽園」
ここでみたことは、ただのお芝居なのだと、思わせてくれる。
つくづく、すごい名前をつけられたものだ。
敬礼して帰りたい気分。
さらば、楽園。
また、次に来る日まで・・・!

Trackback(0) Comments(2) by 鯨エマ|2008-06-01 10:10

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