本日より小屋入り。
今回は仕込が簡単なので、
短時間で場当たりまでこぎつけた。
私が場当たりまでにやる仕事は
お茶場つくり、当日パンフレットの用意、
折込、スタッフさんのお弁当手配、
小道具の準備、合間を縫ってチケットの整理と清算・・・
何より大切なのは
そう、弁当です。
むかし、そのむかし、富山でお世話になったディレクターが言っていた。
「たとえギャラが安くても、メシはちゃんと食べさせろ。」
これが、スタッフをやる気にさせるコツだと。
幸い、私が関わっているスタッフさんたちは、
みなさん、誠実に仕事に打ち込む女性ばかりなので
御飯で釣るようなことはする必要がないのだが
それでも、ほっと息をつけるランチタイムに、あまりチャチいものは出したくない。
それで、海千山千の公演ではいつも手作りカレーで攻めるのだが、
かんじゅく座の公演では、輪をかけて人手が足りないので
どうしても仕出しになってしまう。
前日から劇場近くのお弁当屋さんをチェック。
配達をしてくれて、リーズナブルで、なによりも美味しいこと。
できれば、季節メニューとか、目新しいものがあると嬉しい。
だって、スタッフさんたちは、もうお弁当に飽きている。
果たして、劇場近くに弁当屋さんはなく、
結局、現地で探そうと思っていたところ。
お弁当を用意するとき、またまた私の、しょうもないエコ精神が芽を出す。
あの、プラスチックケースが、ランチタイムのあとに
積み上げられているのを観ると、私は罪悪感に刈られるのである。
また、あの気分におそわれるのか・・・と思ったそのとき、
劇場の目の前に中華家を見つけた!!
しかも、中国人がやっているらしい。
私の経験からいうと、料理について、中華とインド料理だけは
現地の人間が作ったほうが絶対においしい。
ならば、ここの出前にしてはどうだろう。
出前なら、プラスチックゴミが出るはずはない。
食器で運んでくれるわけだから。
しかも、劇場との距離がこんなに近い!
アツアツ出来立てをはこんでくれるんだわ!!
き・ま・り!
注文をしようと店に入るとまず、
「私たちは中国産の野菜を一切使っていません。」という張り紙。
カウンターの奥には仕込み中の中国人たち。
これを、どう受け止めたらいいのか・・・?
私がメニューを見せてほしいというと
その場に居合わせた店員が、全員出てきた。
どうやら、全員が日本語あやふやらしかった。
頭を寄せ合わせて、私の日本語を聞き取ろうというのか。
スープには蓮華をつけてほしいとか、領収書の宛名はこうしてほしいとか、
懸命に説明していたら
日本語のわかる女性の店員が来て、
私の注文は無事に聞き入れられた。
さて、12時・・・・
約束の時間になっても出前は届けられない。
店は劇場のまん前なのだから、道の反対側から覗くのだが
まだ、来そうにない。
しかたなく、出前を迎えに行く。
これじゃ、出前じゃないけど・・・。
「すいません、12時に頼んだんですけ・・・・ああっ!」
なんと、定職のメニューもチャーハンも、すべて
プラスチックのお弁当容器に詰めているじゃないか!!!
これはいやだから、
食器で食べたいから、
わざわざこの店で頼んだのにぃ~~~~~~~!
プラケースに詰めるんなら
半額でスーパーで帰るんだってばあ!
それを何のために・・・・!おお、まい、がぁ~~~~!
絶望的な気持ちで劇場に戻る。
店の人たちは、弁当がプラスチックケースであることに、
私が怒っているとは気がついていない。
時間が遅れていることを気にして、あせっている。
「もうちょっとですから!」
なまりまくった日本語においだされて、
私は手ぶらで劇場に帰った。
15分ほど遅れ、昼食が到着。
目の前の店からだというのに、
ポリ袋に2重にして入れてきた。
弁当にスープまで、全部プラケースだ。
これも無駄!アレも無駄!と、怒ったところで、
日本語のわからない中国人たちには通じない。
だが、なんだか、私が何かに気分を害したことは
瞬時に理解したのだろう。
皿に焼き餃子をてんこ盛りにしてもってきた。
「サービスです。また明日もよろしくお願いします。」
「なんだって?」
とはいわなかったけど、
ラップをかけていない餃子を見て、愕然とする。
こういうところではケチらずにラップしてほしいのよ。
と、まあ、私も自分勝手なものだ。
で、肝心の、お味だけど
韮タマはしょっぱかった。
明日の注文は・・・・ない。
ゆるしてね、中国人たち。
by 鯨エマ|2008-04-03 00:12
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