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[鯨エマの海千山千] 記事数:1742

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34歳の視点

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稽古が終わって、
むかしアルバイトをさせていただいていたスナックに
チラシを置かせてもらいに行った。
ママさんも、お客さんたちも、
いまだに笑顔で迎えてくださる。
その店は、どちらかというと外国人バイトが多く
夕べも中国の女の子がカウンターで働いていた。
そういえば、韓国の**ちゃん、どうしてる?と、
昔のバイトさんの話になった。
ママさんいわく、**ちゃんも、エマちゃん(わたし)も
いろいろ大変だったけど、頑張り方が違うねえ、と。
**ちゃんは、着実に形になるものを身につけている。

中国の子も、韓国の子も、一生懸命勉強し
日本で働いたり、国に帰ったりしているが
それなりに「稼げる人材」に成長している。
「稼げる人材」と書いたのは、
彼らの抱く目標や夢が、「お金持ち」という、
とても具体的なものだったからだ。
この「お金持ち」という感覚は
日本人には違う印象を与えがちだが、
この女の子たちいわく、
一生懸命頑張って勉強した人が、
たくさん稼げるようになる、という理論で
教育されているのだそうだ。
日本は少し違うかな。
清貧の思想がなんとなく、心の底に流れているから
「お金持ち」イコール「守銭奴」というような、
金持ちに対して悪い印象がある。
別にどっちが正しいというのではないけれど、
教育されてしまった考え方というのは、
大人になっても根強く自分の価値観を左右するねえ・・・
なんて話で、昨日は店を後にした。

むかし、一緒に働いていた同じ34歳の外国人女性が、
いま、この日本で、仕事に、結婚に、出産にと
たくましく生きているということを聞くと、
私もがんばらにゃあ!と言う気持ちにさせられる。

さて、父からのA3サイズの手紙が届くようになって
やく3ヶ月。
毎週ではないが、月曜日にポストに入っていることが多く
先回は、父が34歳のときの日記のコピーが送られてきた。
まさに、今回の芝居とリンクすることで
封書をあけたときに、鳥肌が立った。
文章というより、メモ的な日記。
たくさんのイラストを交えながらしたためられているが
そのなかで、ヨーロッパの教会に行ったときのことが
かいてある。
多分父親は、建築物を見学するために行ったのだと思うが、
教会の中で祈る人、ざんげする人たちを観て
「この感覚はまったく今の自分にはわからない」
というようなことが書いてある。
私はミッションスクールで育ったので、
信者ではないにしても、自分の中に神様が住んでいる
という感覚、天に向かって祈るという感覚がある。
このころの父にとっては、
バリバリと高度成長期の最前線で仕事をしている
一人の男性にとっては、逆にわからないものが
たくさんあったのではないだろうか。
ちなみに、当時父が何に興味を注がれていたかといえば、
飛行機の座席のアームだったらしい。
日記の中には、アームの絵がたくさんかかれ、
このデザインはいいとか、悪いとか、
時には「床屋の椅子みたい」なんて書かれている。

いま、父の手紙の文中に、
なにかスケールの大きい地球規模、宇宙規模の
感覚が芽生えていることを感じた。
デザインという仕事の中で、
これからの地球の行く末や、
今までの38億年の生命の歴史が、意識されている。

34歳から32年の間に歩いた数々の山、谷、山、谷、
それが人間をどう変えてゆくのかを見た気がする。

人間は人生の前半で大きな成長を遂げ、
後半は成長というよりも、
緩やかなダラダラ坂を歩いてゆくのかと思っていたが
どうやら後半にも急な坂道があるらしい。

違う国の34歳と、違う時代の34歳にであった日。

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Trackback(0) Comments(0) by 鯨エマ|2007-11-07 12:12

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