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[雨は遠いそらの上] 記事数:109

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まだまだこれから桜(中旬)・福島

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朝靄に乱反射する光が爆発のように輝き、道を覆い隠す。素晴らしい朝だ。

素晴らしい朝の素晴らしいヤマザクラの風景を、ぼくは「散歩中の近所の人に見られたら恥ずかしい」というちんけな理由で通り過ぎてしまった。あの光景がいまでも頭から離れない。芸術は爆発だ、と言った人がいたが、その気持ちが不肖ながらわかる気がする。あの光景をもとめ、ぼくは幾多の朝を絶望と後悔を抱えながら飛び出すのかもしれぬ。しかしぼくは滅法朝に弱い。
でも通り過ぎちゃったもんは仕方ないもん。何せ福島だ。たかがされど福島である。ぼくにとって福島とは、近くて遠い福島なのだ。ドリカム吉田美和にとっての大阪であるように、「近そうでまだ遠いふ~くぅしぃまぁ~」なのである。

朝靄が消えないうちに桜まで到着しようなんてことを考えていたがそんなのどだい無理なわけで、ぐんぐん太陽が上がるにつれて消えていく靄。でも大子の北から矢祭に至る国道沿いでは、魅惑的な風景をいくつも見た。
 
そんなわけで、今日やって来たのは福島は矢祭町の「戸津辺(とつべ)の桜」。福島っつってもちょっと入っただけなんだけどね。でも凛とした朝の空気がぼくの旅情を愛撫し続けている。
国道を折れ、民家のあいだを抜けて坂をのぼっていくと駐車場があり、すでに何台かの車が停まっている。おじさんがリュックとカメラを抱え、嬉しそうな笑みをたたえて桜に向かっていく。
 
桜は目の前だ。
  
満開の桜からは花びらが落ち、見頃を少し過ぎてはいたが、朝の光に照らされ、朝の風にゆれる姿はまさに里の春告人だ。春告人とは(はるつげひと)と読み、ぼくが今勝手につくった。何と樹齢は約600年!昔から農事の準備の目安とされてきた。

 
朝露に濡れる芝の上を、よりよいアングルを探しながらこそこそ歩き回りながら、ぼくは朝の空気の中にいた。先ほどのおじさんと談笑しながら、ぼくは朝の光を受けていた。そして目の前に古の桜がある。ほかに何と言えばいい?こう言おう。写真を見たほうが良い。

  

↑桜の下をわれらが水郡線(笑)が通っている。車両はリニューアルされ、カラフルで何とも無粋な姿に。
  



 
↑ふたたび水郡線(笑)。一番線路に近くてベストな位置を、おじさんが立派なカメラ固定設備でかため電車を待ち構えていたので、ぼくはおいそれと近づけず、近くの坂の上から撮影。というか、電車が来るなんて知らなかったので偶然撮れて嬉しかった。
  
  
ゆっくり戸津辺の桜を観賞したあとは、時間の許すまで福島の桜を見てまわった。いろんな神社・寺院も訪ね、道路沿いの景色も眺めた。しかしまだ、福島といっても序の口でしかなかったのだ。歌舞伎の世界でいうならば、「序」の次は「急」だ。よし、ならば三春滝桜であろう。ついに日本一ともうたわれる滝桜へ。次回は急転直上、三春をめざす。
 
 
 
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Trackback(0) Comments(3) by 雨|2008-05-01 12:12

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