西滝から国道399号に戻って2キロほど南下すると、左に入る細い道のところに「蓮華瀧不動尊」の看板が立っている。前日、日が落ちてから入ってみたのだが、かなりの悪路で不動尊の手前で引き返してきたのだった。4WDなら問題ないだろうが、非力な軽ではちょっとキツい砂利道をそろりそろりと何とか踏破する。時間としては国道から10分ほどか。
不動尊前に車を停めて5分ほど歩けば、蓮華滝は目の前だ。
一帯は古くから信仰の場として多くの人を集めていたようで、この滝で水垢離をとり身を清めたあと、各所をぐるりと回って最終的に不動尊本堂を参拝したそうだ。
滝の前には注連縄が張られ、水垢離の場としての威厳を高めている。
西滝、蓮華滝と素晴らしい滝をふたつも見ることが出来、そして熊にも遭わなかったことが、ヘンな話だが自信につながった(場慣れしたというだけか。遭遇しないという保証はどこにもない)。家に帰って地図を眺めてみると、どうやら国道399号を挟んで西のほうが、山域が広がっていて熊の生息地になっていそうである。そして、この付近ではほかに熊が住めそうな山はこのあたり以外無さそうに見える。
山に囲まれ、主要な道路は国道一本だけという不便な土地柄の茂庭だけど、この自然は何物にも代えがたい。余所者に何を言う資格があるのかわからないけれど、「余計に手を出さない」ということをどのように生活の中に織り混ぜていくか。ということが、ひとつ「自然との共生」を語るうえでの大きなタームとなっていくことになるだろうと思う(もうなってるか)。
おそらくそれは人間と自然の関係を考えるときに、人間が抱いていた基本的な節度であり、自然との緩衝地帯を(それこそ「自然に」)かたちづくっていたのではないか。いま里山が荒れている、というのはそれと裏返して同義のように思えてくる。人間と自然が対置されるもの、ではなくかえって自然という定義が曖昧だったからこそ節度、倫理が保たれていたという側面があると思う。私たちは自然を定義し得、「自然を守ろう」とかいった言葉を操る術を覚えることで、かえって自然との溝を深めているように思えてならない。あくまで一側面だけど。
だから私たちは、そのような文言をひとまず措いて、べつのかたちで自然や人間を語るこころみをしていくべきだろう。このブログも、そのひとつのこころみであるのかもしれないし、そうしていきたいと思う。思いつきだけど。
繰り言はさて措いて、最後にちょっとだけ茂庭地区についてご紹介しておこう。
・もにわの湯
摺上川ダムの直下、茂庭広瀬公園内にある温泉施設。露天風呂もあるが全体的に小さく、シャンプー・リンスも置いていないが、そのぶん料金は250円とかなり安い。湯は加熱循環していて、源泉が少し湯口から出ている。ちょっとわざわざ行くには遠いかもしれないけど、近くまで行ったら是非立ち寄りたい静かなところ。
・滑滝
国道399号を北上していると、突然左手に奇怪な岩肌を露出した川原が出現。キャンプ地になっているらしく、夏などは気軽に水遊びを楽しめる場所になっている。狭い岩の間を結構な水量が落ちているので、落差は殆ど無いがそれなりに面白い。
・茂庭八滝
これはネットで検索していたら見つけた文字なんだけど…たぶん西滝・蓮華滝・滑滝と、行ってはいないけど行人滝…これで4つか。とにかくダムの上流はたくさんの沢が流れてきているので、滝も多いだろうな。熊のらしき糞が落ちていた橋の上から沢を眺めたときも、奥に滝が見えた。また新緑が美しい時期にでもゆっくり来られたらいいな、と思う。
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いやあ先日はMASのヤマダタツヤさんご本人からコメントをいただき、びっくりしました。単なるいちブロガー(というかブログと言い切って良いのかこんな駄文)である自分がこういったかたちで社会と接点を持つということが非常に不思議であると同時に、かつ恐ろしいことであるなあ。と思いました。自覚を持って、社会の片隅でたわ言をさけぶ自覚を持って、生きてゆかねばと思う所存です。
さて今回は、在庫整理しようと思ってかび臭い棚の奥から引っ張り出したCDの束の中から「Marlena Shaw/Live in Tokyo」。
マリーナ・ショウをご存知の方も多いと思いますが、70年代「Who Is This Bitch Anyway?」(大谷能生が「誰がビッチやねん」と名訳した)をリリースし、そのブルージーでソウルフルな歌唱力を余すことなく披露した名ヴォーカリスト。
やっぱり中でも「Feel Like Makin' Love」が白眉だと思うのですが、このグルーヴ感(ドラムがハーヴィー・メイソン、ギターにデイヴィッド・T・ウォーカー、ラリー・カールトンなど、のちのフュージョン・ビッグネームが名を連ねている)を求めて「Live in Tokyo」を買ってみたのだけど、編成がジャズ・カスタムなので曲もよりスローでジャジーにしっとり歌い上げる感じになっており、聴いた当時はちょっと期待外れだったんですね。
それで久しぶりに聴いてみたところコレが何ともグッと来る!ミドル・テンポのグルーヴィーな曲をスローに料理しなおすってのは、実は一番グッと来るところかもしれない。さらに、特にこのFeel Like~はちょっとUK R&Bの香りがするんです。ぼくはそのあたり、もっとも胸をかきむしられる。
30年経ってもマリーナ・ショウの声は健在で、深みとコクが増し、安定した歌唱力。バックの演奏も磐石。これは歳を取るごとにともに傍に置き、熟成していく名盤に違いない。ちょっと売っちゃおうかな、と思った自分が恥ずかしいぜ。
試聴「Marlena Shaw/Live in Tokyo」
by 雨|2010-12-04 16:04
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