だいり様やら 官女やら
五人ばやしも にぎやかに
あられひしもち 桃の花
ぼんぼりつけて ひな祭り 「おひなさま」作詞・作者不詳/絵本唱歌
子どもが通っていた幼稚園では、年度末最後の行事がひなまつり会だった。この歌に合わせて園児が小さな人差し指で太鼓を叩いたり、顔の横で鼓を打ったり、笙の笛を吹いたりする身振りの、しっとりとしたお遊戯をするのだ。正座したままの静かな静かなお遊戯の愛らしさは何ともいえなかった。間もなく卒園して春からは小学生という子の父兄は、ぬくぬくほんわか日だまりのような幼稚園での日々を想い出し、その多くが鼻の頭を赤くしてハンカチを握りしめていた。
◯と◯えは女の子。桃の節句のその日には、毎年華やかなちらし寿司と蛤の潮汁を作ってきた。あなたたちも蛤にあやかって、自分にぴったりのステキな伴侶と出逢えますように。
でも、、、飲んべの母は本当は、ぜーんぶ焼き蛤にしてジュワジュワいってるところに酒と醤油をちろっとたらしてぐいっとやりながらぺろっといきたいの!その衝動をぐっとおさえ、清楚な潮汁をせっせと作る。
なのに、子らは二人とも蛤がダメなのだ。
まずは味が苦手なんだけど、身が大きくて、口いっぱいにむぐむぐするのも嫌いらしい。それはね、い〜い蛤だからなのに。鹿島灘の沖合で採れる、大きくて質の良い国産蛤だからこそ、なのに。
でもきっといつか「あれ?潮汁ってこんなに美味しかったっけ」と思う三月三日がやって来る。年齢によって味覚は変化していくものだ。苦くてまずいはずのピーマンも、ある日突然「チンジャオロースってご飯がすすむね」になる。だからこれからも毎年願いをこめて作り続けるのだ。そしてその日がきたら、「ああ、蛤の美味しさがわかるまで大きくなったんだなぁ」としみじみしよう。
鹿島灘はまぐりは、よくある波打ち際の潮干狩りの風景で採れるものではない。外洋性で水深2〜6メートルあたりで収穫される、大きくて立派な、そして貴重な純国産種である。日本で流通している蛤の9割が輸入物、国産は1割だけである。その半分以上が鹿島灘で採れる汀線(ちょうせん)蛤だという。
貴重な資源を根絶やしにしないため、四つの漁協の組合員が出漁する船の数、操業時間、一日の採取量、使う漁具の大きさなどを決めて、その保護に努めている。一人の漁業者が操業できるのは月1回程度とか。
輸入物に比べたら確かに高い。でも旨い。まだまだ先の話しだが、グルメな方へのお歳暮に、自信を持ってイチ押しです。旬は12月から3月頃。覚えておいてね。
Trackback(0) Comments(5) by Yamepi|2008-03-03 15:03
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