「茨大前の通りに小さな和菓子屋さんがあって、そこの黒糖どら焼きが美味しい
んだって」と、Sさん。何人かからそんな話しを聞いていたが、まだ食べたことが
ないという。試してみなくちゃね。
大通りから少しだけ斜めにそれていることもあって、気にしてないと通り過ぎて
しまいそうな和菓子屋さん、飯野屋(製菓)は、表からもショーケースの中がう
かがえるような、こじんまりとした店構え。入ってみると饅頭や餅菓子以外にも
羊羹、かる羹、お団子に蕎麦ボーロなど、意外に種類が多くて目がうつる。
おすすめは何ですか?と聞いてみたら、やはり黒糖どら焼きの名が一番にあがった。店主らしき年配の女性が「緑の色がとても濃いけれど、それはよもぎの量が多いせいで自然の色なんですよ」と薦めてくれた草餅もいただいてみよう。パイ好きのワタシが手にとった巴伊饅頭の中身は小倉とさつま芋の2種がある。それからSさんご所望のわらび餅と、4種類のお菓子を買ってSさん宅へ。
冷たい雨が降る師走の昼過ぎ。久しぶりに会うMさんも加わって、煩雑な外界からしばし逃避、和菓子とお茶でほっと一息。近況報告から始まって、地域によって異なる教育への意識格差(フフ、こう書くとアカデミックに聞こえるもんだね)へと発展し、はたまたワタシたちの年代に多い乳癌にまつわる話しなど、お茶と
お菓子と居心地の良いソファを手に入れた女子に、話題が尽きることはない。そして嬉しいことに、この黒糖どら焼きが当たりでした!ほんのりと黒糖の風味が漂う皮の部分はとてもきめが細かくて、ふんわりしっとり。厚すぎず薄すぎず、小倉あんとのバランスも程よく、誰にでも好まれそうなやさしいお味。皮のしっとり感といい、あんのつややかさといい、たった今はさんだばかりのようなできたて感がある。
草餅も草の香りが鮮やかにつよく、緑茶との相性ばっちり。バターの風味が良いパイ饅頭と、とぅるんとした舌触りのわらび餅も、間違いなかった。この調子なら他の商品も期待して良さそうだ。季節によって品揃えが少し変わり、夏場は葛きりが一番人気だという。楽しみだわ。
店主らしき女性、菓子を包みながら、自然の素材をたいせつに製造していることをさりげなくアピールしていたけれど、実はかなりの自信と誇りをもっているとお見受けした。Sさん宅でおかわりのお茶をいただきながら思い出した最後の一言。
「お味の好みは人それぞれですからね、もしお気に召したなら、またいらしてください」
心の中で応えたよ、きっとまた参りますぅ
by Yamepi|2007-12-07 10:10
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