使いたい写真があったので、○とのデジカメのデータをワタシのパソコンに落としておいてもらいました。
3月30日。その頃わが家はとても慌ただしい日々を過ごしていました。
翌日使用する品物を調達するために、市内の百貨店へ赴いたワタシと○と。
大量の荷物をクルマに運び込み、シートに体を預け、バタンとドアを閉じた途端、
ふかいため息と共にわずかに残っていた精気まで吐ききってしまった気分。
春期講習に行ってる○えを迎えに行くまでの時間、何か気分転換をしたいね。
そうして訪れたのが水戸芸術館で開催中の、
ゲルダ・シュタイナー&ヨルク・レンツリンガーによる個展
『Power Sources/力が生まれるところ』
閉館まで1時間もなかったけれど、
とにかく現実から離れて休みたかったワタシたちにとって、
そこはうってつけの場所でした。
どうしたって押さえちゃう、この個展の撮影ポイント↓
今回の展示は撮影OKなのです。たまたま○とがデジカメを持っていました。
11のインスタレーションから構成されていて、
「Sweet Little Nothing(いとしいなんでもないもの)」とか楽しいです。
その11のインスタレーションのなかで二人してはまってしまったのが、
「Lymphatic System(リンパ系)」
ベッドに横になって観賞する、かなり高さのある装置です。
仰向けになって横たわり、銀色の薄いアルミシートで囲われた内部に設置された、
さまざまなモノたちを見上げました。
ハアアアァァァァァァァ……
背中がベッドに沈み込んでいくようなため息のシンクロ。
無言のまま、5分、、、10分、、、15分、、、、
微かな風に揺らめく銀色のシートが、梢のざわめきのような音をたてています。
静かな森の中で横たわって空を見上げている気分。
こぶこぶの固結びだった脳味噌がゆったりとほどけていくのがわかります。
平日の閉館間近で観覧者が少なかったことも幸いでした。
そこはワタシと○とだけの場所。
いつまでもいつまでもそこに横たわり、風とリンパの流れる音を聴いていたい。
いっそこのまま装置の一部になってしまいたい。
「間もなく閉館となります」の声に引き戻されるまでの20〜30分の間、
娘と共有した静かで沈かな時間を、きっと忘れないと思います。
その3日後に進学のため家を離れた○と。
後日、使いたい写真を取り出すために彼女のデジカメのデータを開くと、
家のなかのあらゆる場所が収められていました。
リビング、ダイニング、自分の部屋、妹の部屋、お風呂、キッチン、
窓から見える景色、窓辺に置いてあるものなど、懐かしくなるであろう風景。
そして3月30日にクルマのハンドルを握る疲れたワタシの横顔と、
装置を見上げているこの1枚も。
いつも間に…
これから先、○とはどんな時にこれらの写真を見たくなるのだろう。
できれば撮ったことなど忘れてしまったというくらいで良さそうです。
でも、もしも小さな画面のなかに家の景色や母の横顔を探すことがあるとしたら、
あの日疲れたワタシたちを癒してくれたインスタレーションのように、
そこから力を得てくれることを願わずにいられません。
ゲルダ・シュタイナー&ヨルク・レンツリンガー展
水戸芸術館現代美術ギャラリーにて、2012年5月6日まで。
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» Tags:水戸芸術館, ゲルダ&ヨルク, ゲルダ・シュタイナー&ヨルク・レンツリンガー,
Trackback(0) Comments(4) by Yamepi|2012-04-17 01:01
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