映画を観る機会が続いています。
昨日観たのは藤沢周平原作の時代劇「必死剣鳥刺し」。
週末に観た「ジプシーキャラバン」は音楽世界遺産と謳うだけあって魂を揺さぶる音楽が溢れていましたが、「必死剣鳥刺し」はその対極にあるような作品でした。
おさえられた色彩、登場人物も寡黙なうえに、音が必要最小限。
無音の状態がとても多く、それゆえに畳をする足袋の足音ひとつにも情感を読み取ることができます。
長閑な山並み、暗い屋内の静謐な空気、登場人物の所作、感情を押さえて押さえてひた隠した中で発せられる短い言葉などに、奥ゆかしい日本の美しさを感じます。
丹念な日常の描写はあまりに静かすぎて、満腹が災いして一瞬堕ちそうになりましたが、見終わったあとはなるほどぉ…と納得のため息一つ。
なんといってもラスト15分の立ち回りが圧巻です。
殺陣の動きのなかに主人公である兼見三左エ門の感情が表れていて、心中察するにこみ上げるものがあります。
思わず目を伏せたくなるほど迫力のある斬り合いに、はらはらどきどき。
立ち回りの終盤、絶体絶命の三左エ門を演じる豊川悦司のなんと不細工なこと。これぞリアリズムと感動しました。
観客はやはり中高年層の方が多かったのですが、時代小説に興味のない若い人でも充分楽しめると思います。
こけおどしのひとつもない良質な映画です。是非お運びを。
上映中に席を立つ人が5〜6人はおりました。いずれも殿方。小用と思われます。
一時停止はできないものねぇ…
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Trackback(1) Comments(5) by Yamepi|2010-07-15 23:11
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