数日前は、従兄弟のKの引っ越しでした。Kは39歳の独身男性。広くて立派な実家に親と同居していましたが、同じ市内のマンションで、10数年ぶりに一人暮らしを始めるのです。
Kはワタシの従兄弟ですが、今ではワタシより◯パの方が付き合いがあります。手伝いを頼まれたのは◯パで、朝から駆り出されていきました。
引っ越しと言っても大きな荷物は冷蔵庫くらいなもので、午後1時すぎにはめどがつき、午前中用事のあったワタシもここで合流。新居に訪問です。
まず玄関前のポーチが広い!3LDKで100平米を超えています。間取りも家族向けと言えるでしょう。真新しい壁と床、天井も高く、最新の設備。
また景色が良いのです。20畳を超えるリビングダイニングの南側は全面が窓で、道をはさんで広々とした公園があり、今は秋の色に燃えたつ木々が鮮やかです。冬の枯れた木立も味わいのある佇まいでしょう。春の新緑は清々しく目を癒すでしょう。夏の濃い木陰には涼しい風が憩うことでしょう。
狭いアパートでひしめき合って暮らしてるワタシには夢のような住まいです。これだけ素敵な器があれば、どんなに快適な住まいに整えられることでしょう。
なのに。
部屋にあるのはボネコの空気清浄機とデロンギのヒーター、本と衣類と布団だけ。あ、あと自分で買ったという胡蝶蘭が二鉢。
キッチンにはグラスが2個とカップが2客。棚にはブレンダーが1つとズラリお酒が並ぶだけ。お茶もいれないからやかんも要らないと言います。何とも素っ気ない部屋です。今後の部屋作りのプランを聞いても、およそ温もりや心地よさといった要素に欠けています。
おーっと、お風呂場になにやらレディースな品々が!
「ちょっと〜、この品揃えはな〜に〜?誰が使ってんの〜?」
ヘアケア用品もボディ用もすべて薔薇のシリーズで統一です。スポンジだってピンクですもの。
「あ、それ、俺が使ってんの。この辺から加齢臭匂ってたらヤダからさ」と言いつつ、耳の後ろをこすっています。とんだ見込み違いでした。ちっ。
もう何年も彼女のいる気配のないKを、Kの両親はとても心配しています。
ワタシだってそうです。ここを訪ねたほんとの理由も、いつ誰が来ても良いように、恋愛運アップの部屋作りをさせようと思ったからです。
でもKは、住まいを資産としか捉えていないような口ぶりで、ワタシのアドバイスも全否定。まあインテリアの好みは人それぞれだから、ワタシの趣味を押し付ける気はないけれど、この部屋を通して、改めてKが見えてきたのです。
Kよ、あなたの部屋は寂しい。ただ単にモノがないと言っているのではなく、彩りの少ないあなたの心を映す鏡のように寂しいです。
子どもの頃は素直でおっとりとした性格だったのに、不本意な道を歩き続けたせいで心に幾重もの鎧をまとってしまったね。今はもう自分でも自分の気持ちが見えなくなっているんじゃないの?
あなたとの会話はどうもうまく弾みません。だっていつもワタシの言葉をすべてはねのけるんだもん。俺の好みや価値観が人の意見で変わることなどあり得ないという頑固さの前に、議論する気力を失うの。
あなたはあなたの考えでいいんだよ。でも、あなた以外の人も皆それぞれに考えがあって、良いところは取り込むし、合わないところはスルーしながら、でも自分とは違うけどあなたはそうなんだねって、お互いを認め合いながら尊重し合いながら折り合いをつけていくんだと思うんだよ。
白とピンク、2つの蘭を自分で買って置いてあったよね。気持ちが安らぐからって。あれがあなたの真実だと思う。ほんとはもっと安らぎたいのだと思う。
その心の安らぎを得るのには、穏やかで温かい人との関わりが効くんだよ。
もっと人を、人の話しを、いったんは受けとめるようにしてごらんなさい。
その心のゆとりが顔や言葉や振る舞いにまろみを与えてくれるから。そしたらきっとあなたの周りの人の模様も変わってくると思います。
もうすぐ四十路の男に意見して、うざい姉ちゃんだと思うでしょう。でも幸せになってほしいから、あえてうざく関わっていくよ。敬遠しなさんな。
帰り際「運をつけてやる」ってトイレ借りたけど、出なかった。そんなにフレキシブルなお腹じゃなかったわ、悪いね。次がんばるから。
*見てくださってありがとう よろしければポチッとお願いします*
Trackback(0) Comments(4) by Yamepi|2008-11-23 22:10
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)