朝の慌ただしい時間、ふと目の端に、テレビに映る喪服姿のタモリさがん入った。
今は亡き恩人、赤塚不二夫氏の葬儀において、弔辞を読んでいる横顔だった。
弔辞の途中の言葉の切れはしを耳が捕まえた途端、他のことはどうでもよくなり、食い入るように映像を見、全身を耳にして聞きいった。
なんて素晴らしい弔辞なんだ。
無駄な修飾をいっさい省いた簡潔なセンテンス、しかしそのどの一文もが、深い意味をたたえている。タモリさんと赤塚さんの有名な出逢いのエピソードを知らぬ者にも、どれほどの縁であったかを思い知らせる弔辞であった。
出逢いから今日に至るまでの、赤塚さんとタモリさんの一切合切が、ほんの数分の弔辞に包括されている。
たとえ赤塚さんのマンガを読んだことのない人でも、その人となりの芯の部分を感じさせる秀逸な弔辞である。
また声音が良い。
ただ単に良い声だというのではなく、いつもは鍵をかけている心の奥の扉のなかから発せられているかのようだ。だから、普段の生活では聞いたことのないヒトの声だから、耳をかすめた途端、一瞬にして意識をとらえられたのだと思う。
気が付けばタモリさんが手にしている紙は白紙であった。
しびれた。
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Trackback(0) Comments(4) by Yamepi|2008-08-08 10:10
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