劇団銅鑼の「からまる法則」に、2日間、音声ガイドをつけさせていただきました。
ご来場くださった視覚障碍者の方5名、
そのうち音声ガイドご利用の方4名。
これは、全体の数にすると、非常に少ないのですが
私としては、お一人お一人に、丁寧な対応をできる
人数だったかなとも思います。
私の持っている機材で対応できる人数は、1公演で9名。
いずれ、2日間で18名が楽しんでくださるようになるとうれしいです。
これは毎回やっている私にしかわからないのですが
前よりも、音質がクリアになり、雑音もなくなったのです。
一度晴眼者の方にも体験していただきたいです。
思えば10年近く前のこと・・・
劇場のバリアフリーサービスということができないかと考えました。
映画には音声ガイドがあるらしい、ならば、演劇でも!とおもって、
すでにそのサービスをやっていた、劇団昴さんのお客様に、
話を伺いました。
晴眼者にはわからない、視覚障碍者の本音、みたいなものを聞きたかったのです。
そのとき、
「あなたは、自分の作品をすべて理解してほしいと思っているのですか?」
ときかれました。
いや、そんなことはない。
「作品は、みる人によって視点が違うのですから
各々で好きなように感じ取っていただければいいと思っています」とこたえると、
その方は、こんな風におっしゃいました、。
「そうでしょう、私たちも全部わかろうと思っていない。
2~3割理解できれば、それで楽しむこともできる。
だから、無理にそんなサービスを考えなくてもいいのです。
もし、観る人すべてに理解してほしいなら、
最初からユニバーサルデザインの作品を創ればいいじゃないですか。」と。
なんだか、出鼻をくじかれたような気持でした。
私は創り手として視覚的な効果が、
とても大きな割合を占めていると思っていますので
目で感じ取るシーンも作りたいし、
そもそも、演劇は総合劇術なのだから、視覚的な効果があるのが当然なんですけど・・・!
そのときは、少々がっくりしながら、
それでも、作ってみた音声ガイド。
自宅での録音は、雑音だらけの、今思えばひどいものでした。
感想も、ガイドが「多すぎる」「少なすぎる」と
両極端でした。
そこから試行錯誤、現在に至るわけですが、
この間、ずっと、
私に音声ガイドを依頼してくださっているのが、劇団銅鑼さんです。
銅鑼の制作さんは、私が当初、いろいろな劇団の制作さんに声をかけて
バリアフリーサービスを始めようという会合を行った時から、
参加してくださっています。
今後、どんな音声ガイドをつけてゆくのがいいのか。
やはりなるべく稽古場に行き
作品の世界観、作り手の思いを壊さないように
ガイドをつけてゆこうと思います。
続けるほどに、一人よがりになりがちなので、
やはり、毎回ご利用くださった方の意見も聞きつつ・・・ですね。
それから、聴覚障害の方への台本事前貸し出しなども、
もう少し広がるといいなと思います。
私は昨日が千秋楽でした。
みんなは今日が千秋楽。
きっと、清々しく幕を下ろしていらっしゃるでしょう。
参加できたことに感謝です。
Trackback(0) Comments(4) by 鯨エマ|2013-03-03 17:05
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)