そろそろ衣裳を決めなければならない時期に。
基本的には自前&劇団員同士の貸し借り。
特殊な物は衣裳やサンでかりましょう、
というやりかたでやっている。
それぞれに自分の役つくりのひとつとして
みな、一生懸命考えてくれている。
でも、舞台衣装というのは
日常生活の中で「いいな」と思うものとはちょっと違う。
色、材質が、近くで見るのと、
客席から舞台の上で動いているのをみるのとでは、
印象がずいぶん違うのだ。
遠い、近い、という問題だけではなく
照明、強度、着替えやすいかどうか、役柄に合っているかどうか、
時代背景や季節、いろいろなことを考えなければならない。
だから
「これが着たいんです!」と、勇んで持ってきてくれた衣裳が
却下になることはよくある。
申し訳ないと思いながら
「他を探しましょう」といわざるを得ない。
なかでもホームレスの衣裳は毎回苦労する。
いまどき、擦り切れた服を着ているホームレスは少数派、
だからといって、あたらしいものを着ているわけではなく、
ほどよい「汚れ方」がこのましい。
「着こなし」も必要だろうけど、
いざ「汚そう」とおもっても、そうそう汚せるものではないのだ。
何日も、いや、何年も経てできた黒光りは、
人口的な汚しでは真似できない。
今回は特殊な衣裳もけっこうあって、
いつもお願いしている東宝のKさまにたのんだ。
ところが和服は予想以上に高かった!!
覚悟していた値段の2倍以上の値段を言われた。
私のプランを変えなければならないか・・・?
心をよぎるのは
高校時代の演劇部顧問のN先生の言葉。
「衣裳にはお金をかけなさい。」
舞台セットはどんなに簡素でもいいが
衣裳はあなどるなかれ、というのが、彼の通説だった。
いま、その意味がわかるだけに、ああ、葛藤が・・・
そこで、同じような華やかな衣裳をネットで探してみる。
あった。
というか、ネットのほうが華やかじゃん?
しかも、若干安い。
次なる問題は配送。
普段信頼しきっている配送が、ここ1ヶ月は不安定だ。
とくにネットショップは地方にあることが多いので
はたして無事に手に入るのか否や・・・・
今日も余震が続く。
不安でないわけがない。
「守るべき家族がいないなら、楽じゃない、いいわね」なんていわれるが
そういうものではないのだ。
ただ、誰かが喜んでくれるようにと思って行動しているときだけが
不安が少なくなる。
なぜだろう。
被災地で、被災しながらもボランティアに走り回っている人たちも
同じような動機があるのではないだろうか。
人間の生きる姿勢が、ここにあると思いたい。
不安だと溜息をつきたくなったら、まず深呼吸。
さあ、明日も稽古場へ。
~本日のありがとう~
私の度重なるNGに、
ディレクターもあきれていらっしゃっただろうに
延長戦の収録、ほんとうにありがとうございました。
Trackback(0) Comments(1) by 鯨エマ|2011-04-13 23:11
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