映画関連の専門学校や、大学の芸術学部から
高齢者の役者を紹介して欲しいという相談電話が絶えない。
私は、紹介するのは全然かまわないのだが、
それ以前に、彼らのはっきりしない、コンニャクのような話しかたに
内心イライラし、もう小姑張りにガミガミやっている。
どういうことかというと・・・・
まず、自分たちが、どこのだれで、
何を目的に、どういうことを頼みたくて電話しているのかを、
きちんと説明できる人がいない。
ほとんどいない。
で、電話口で要領を得ないまま黙っていたりするので、
しかたなく、「あなたはどなたですか?」
という質問からはじめることになる。
それから、「どういう用件ですか?」ときくと、
「年寄りで映画に出てくれる人を探してます。」とくる。
私がもし、かんじゅく座の稽古場にいって
「学生の作る映画に、ただで出てくれる年寄りいますか?」といっても、
誰も手をあげないだろう。
・・・・ということをわかっていただきたく、
質疑応答をしてゆく。
どんな映画なのか、
いつ撮影をするのか、
どんな役柄なのか、
イメージする役者はどんな人なのか、
出演の条件は何か、
いつ、発表する予定があるものなのか、
などなどなど・・・
学生さんは、聞かれるままに答えるだけだ。
最後に、こういうことを全部説明したうえで
理想的な役者をさがしたらどうかと言ってみると、
ある人は「そうですね。」
また、あるひとは、ぽかん・・・・と、暖簾に腕押し状態。
たしかに、高齢者の出演者を探すの簡単ではない。
私も自分の公演のとき、20歳、40歳、60歳にラインを引いて
それぞれ条件を決めている。
当然、60歳以上は敷居が高い。
ギャランティだけではなく、
スケジュール、気持ち、体力、キャリア、演技、集客力、もろもろだ。
だから、「年寄りだったらだれでもいいんです!」だと、
どうしようもないのだ。
私の周りを見る限り、(私も含め、)
ギャラ第一に考える方は、ほとんどいない。
それは、みなさん若かりし頃に、きっと、
理想の作品を創るために、貧乏しながら尽力した経験が
おありだからだと思う。
どんなベテランになろうとも「思い」は、伝わるもの・・・と、信じている。
先日はアポなしで稽古場に乗り込んできた女子がいたという。
私の担当の日ではなかったのだが
講師仲間がドン引きして私に電話をしてきた。
まあ、いろんなやり方があるし、
私もガンガン足を運ぶタイプなので
門前払いにするわけにもいかず・・・・・
結局、交渉のレクチャーなんかをやって、
企画書と台本をかいておくらせ、
それから具体的に話しましょうと、そんなことやっているもんだから、
ああ、あたいの時間がなくなるんだよお!
しかし、ここで、ふと思う。
彼らの中で学校を卒業して、何人が映画業界に就くのだろうと。
仕事にできようが、そうでなかろうが、
1本の作品を創ったという経験が、
いつか、何かの役に立つようにするためには
やはり、「必死に」やってほしいとおもうのだ。
私が、突然やってくる学生たちを門前払いにすることは簡単だ。
しかし、せっかくステキな作業を志しているのだから、
ここで、「課題をやらされてます。」から
「創りたいものに、時間とエネルギーを存分にそそぎたいんだ。」に、
変換してもらえれば、嬉しいじゃないの。
そんな姿勢に、わたしも「やらねば」と改心させられる。
結果、それは実力ある若手を輩出し、
私の出番をいまよりもいっそう、遠ざけることになろうとも。
なんども書いているが、そうやって私に教えてくれたのが、
青年座の先輩たちだった。
先日なくなった劇団の制作、住田女史や
演出の鈴木氏も、そのひとりだった。
いま、私に課せられているのは「やさしく教える」こと。
これがむつかしい。
だって、先輩たちは怖い人がたくさんいたから。
そういうところは、無意識に引き継いでいる。
思わず体育会系の喋り方になるのを、
こらえて、こらえて~~~~♪
~本日のありがとう~
職場でゴキブリを退治してくださったTさん、
ありがとうございました。
ゴキブリさん、ごめんね。
Trackback(0) Comments(2) by 鯨エマ|2009-08-20 15:03
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