「事件から7年」と表紙の帯に躍る文字。
世田谷事件から7年たって、被害者の姉である入江杏さんが、
悲しみを乗り越えて書いた著作
「この悲しみの意味を知ることができるなら」の発売に際し
著者の講演会が早稲田大学で開かれた。
1時間半にわたる会の中で、彼女はこの本を書くまでの道のりについて、
スライドで写真を交えながら語った。
聞いている間中、こちらのほうがぎゅっと胸をわしづかみにされるようで
涙が止まらないというのに
彼女はゆっくりと、落ち着いて話を続けていた。
じっくりと話す表情は
大切な人の死が、しかも、残虐で不条理な死が
彼女と彼女の家族にもたらしたものを
必死にうけとめ、もがいたあとの落ち着きなのだろうか。
そんな彼女が講演も終わりのころにこういった。
「もう私たちには、クリスマスやお正月を喜んで迎えられる日は来ないのではないかと思っていた。」
この入江さんの悲しみに比べたら私の苦い日々などは
まったく対したことないわけだが、
私もこの季節になると、
とくにこのクリスマスの季節になると、
また今日を迎えられたことに静かな感動を覚える。
敬虔なクリスチャンではなくても
今日は世界中のみんなが喜びと感謝の気持ちに満ち溢れる日。
私もその一員としてここにいられることを単純にうれしいと思う。
また思い出すかもしれないけれど、今は一瞬でも過去のくだらない争いを忘れ
世界のために祈ることができる、この感覚は、多分
小学生のころから学校で植えつけられたものだろう。
今日が晴れでよかった。
自転車で走りながら空を見上げたら
知らないうちに不思議な形のビルが建っていた。
ロケットのような、それが包帯を巻かれたような
危うい傾きのビルだ。
世界は何処に向かってゆくのかなあ。
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by 鯨エマ|2007-12-25 12:12
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