本番前、あと数分で開演のアナウンスをするというとき
携帯にメールが入った。
ぎりぎりまで電源を入れているので
すぐにチェックした。
件名、訃報。
私のギターの先生が今朝亡くなったと言う。
T師匠は私が東京でギターの先生を探していたときにであった、
心の和む、誠実な方だった。
私の練習不足に、呆れながらも、
根気良くアレンジに付き合ってくれた。
最後にアレンジしてくれた曲はベートーベンの「悲愴の愛」で、
これは、いま、音楽を担当している森田氏も15年位前に
編曲して歌っていた曲だ。
いままで編曲してもらった曲は多々あり
私に合わせて引きやすくタブ譜まで書いてくれたものだ。
開演時間に押されるように舞台に立った。
千秋楽にもかかわらず、
いま、この芝居をやることが必要なのかと頭をよぎった。
すぐに、駆けつけることができない状況をうらんだ。
舞台が跳ねれば、またバラシ、搬出、打ち上げと
あっという間に時間は過ぎていった。
そのなかで、私が師匠を忘れている時間さえあったことが
悔しくて仕方がない。
あさって、葬儀にいくまでは、
実感なんてわかないかもしれない。
わずらっていたとはいえ
こんなに、簡単に、一人に命が散ってしまっていいんだろうか。
あたしも、こんなことをしていていいんだろうか。
» Tags:演劇,
by 鯨エマ|2007-12-10 20:08
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