「今、この一瞬」は、たった今しかなくて
こうして書いている今も、一刻一刻と過去になっていく。
常に流れ行く時間軸のなかに、私たちは存在しています。
先日、興味深いお話を聞く機会がありました。
毎週木曜日、早朝坐禅に通っているお寺の住職さんのお話。
坐禅の最中、住職は警策(きょうさく)を持って私たちの後ろを回ってみえます。眠たくなったり、心がまとまらなかったとき、住職が励ましや引き締めの意味をこめて、肩を打ってくださいます。
そのときに、思うそうです。
「もっと上手く打ってあげられたら・・・。」と。
住職でさえ、警策を上手く打てるときと、そうでないときがあるそうなのです。
上手く打てなかったときに
「もう一度やってあげたい。」
と思うのだそうです。
でも、「もう一度」は二度とやってこないから、だからこの「一喝」に心を込めて、誠心誠意尽くすのだと・・・。
このお話を聞いて、日常生活でも、ヨガを行ううえでも同じだと感じました。
人生の「今ここ」は、もう二度とやってこないから。
一瞬一瞬を大切にして、自分の中でしっかりと味わって、何事も心を込めて行いたいと。
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先日、レッスン後に生徒さんとお話しする時間がありました。
毎週来てくださり、一生懸命に体を動かしてくださるUさん。
お家でのプラクティスも熱心にされていて、ヨガを楽しまれている方です。
普段しっかりと動かれているご様子なので、物足りないのでは?と思い、レッスン後に声をかけてみると
「自宅で練習するよりもゆっくり動いたり、丁寧に行うことで、そこに新しい“気づき”があって、それがまたいいのです。」
というようなお答えをいただきました。
「丁寧に行う。自分を感じる。心を見つめる。」
そんなレッスンを心がけていたので、じんわり涙が出るくらいにうれしく思いました。
そして、そのような“気づき”を得られているUさんが、すばらしいと思いました。
ヨガのアーサナ(ポーズ)。
難易度の低いものから高いものまで、色々あります。
でもその低い高いを決めているのは、実は自分のこの心なのです。
意識の持っていきどころや、心の持ちよう、そして取り組む姿勢で、一つのアーサナも、自分にとっての意味が変わってくると思うのです。
今、ここにいる自分が、いかに目の前にあるアーサナを大切にして、もう一度はできないつもりで、全身全霊で取り組めるかどうか。
体を鍛えるだけではなく、心を鍛えるというヨガの側面は、そこにあるのだと感じています。
Uさん、ありがとう。
その“気づき”を大切にされているUさんを目の前にして、改めて「今、ここ」の重要性を再確認できたような気がします。
これからも、一瞬一ポーズを大切にしたヨガの時間をともに過ごしてゆきましょうね。
Trackback(0) Comments(0) by yogini*kumi|2011-06-03 10:10
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