○えが卒業したばかりの中学校、今日はその離任式がありました。
お一人は、豊かな知識の中からその時々にふさわしい素材を選び出し、聴き手に届くように組み立て、いつも心に響く深いお話をしてくださった校長先生。
おかげさまでこの3年間の学校行事は先生のお話を聞くことが密かな楽しみでした。
先の卒業式ではパスカルの詩を引用されていました。
「人間は考える葦である」という一節は誰もが知るところですが、本当にたいせつなのはそれに続く言葉であると。人間はひと吹きの風に折れる葦のような弱々しい存在だが、その尊厳のすべては考えることにあるというところから、深みのある人間へと成長するための心構えを説いてくださいました。
実は卒業式に先立って、学校の広報誌に寄稿された卒業祝いのメッセージに、すでに大いに感動していたところでした。限られた文字数のなかにスケールの大きな時間と空間が広がり、なかでも「世界はあなたを支えています」という一文に衝撃を受けました。なんと力強いことか。どうして私はこんな風に美しく、足下を照らす灯りのようなメッセージを若者に贈ってやれる大人になれなかったのだろうかと、人としての厚みの差を痛感しました。
親では足りない部分をこうして先生方が補ってくださることに感謝しかありません。このメッセージと卒業式の祝辞が、これから新しい世界に踏み出していく15歳の少年少女たち一人一人の頭のなかに、小さな宇宙を授けてくださったように感じました。
今日の離任のご挨拶は、中学校での日々はとても楽しく、先生にとっても学びに満ちていたということ。なかでもここで日常行われている楽しい授業の意義。それを経験した君たちは今後も学ぶことを楽しんでいくことができるであろうと。
続いて、教え子だけでなく父兄にも言葉をかけてくださり、顧問をされていた部活の生徒たちにむけても「離れていてもチームメイトだ」と熱く語ってくださったS先生。そして「時には“助けて”と周囲の人に助けを求める勇気を」と伝えてくださった、親身な指導で人気の養護教諭のH先生。お世話になりました。
式の間、発声のない時には「シーン」という音が聞こえるほどの静寂に包まれる体育館。厳かに歌われる四部合唱の校歌。生徒たちの態度の立派さに、本当にこの学校で良かったとあらためて思うことができました。
子どもの就学に便乗して、中学生だった頃の自分自身の思いの隙間を埋めるような気持ちで関わった6年間は、私の育ち直しに重要な日々でした。この学び舎は私にとってもたいせつな場所として、これからの記憶に留まっていくことと思います。
今日を以て離任される先生方、引き続きこの学校を支えていく先生方、これまで関わってくださったすべての先生方に心から感謝いたします。
ありがとうございました。益々のご活躍を!
Trackback(0) Comments(0) by Yamepi|2014-04-04 18:06
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