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雨のピクニック

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「ママやめて、うるさいよ!」と言われても、、、
ついてもついても知らぬ間にまた出てしまうのです、ため息が。




今日の天気予報は午後の3時頃から小雨が降り始めるはずでした。なのに、みごとに外れて朝から降り出し、雨脚も強まり、今もじゃじゃぶりが続いています。

5分も外に立っていると、冷たくて強い風がたちまち体温を奪っていきます。あわてて暖房器具を引っ張りだしたくなるような肌寒さ。
こんな雨の中を1日中歩き続けたりしたら、どんなにくたびれることでしょう。


今まさにそんな人たちがいるんです。しかも千人近い人たちが。


今朝から明日の昼にかけて、◯との学校の一大行事が行われています。
恩田陸著「夜のピクニック」のモデルになった行事です。




午後2時、涸沼の端っこの方を通過する生徒たち。
この頃はまだ笑顔を見せていましたが、すでに髪の毛も靴もぐっしょり。直後から雨風が強まり、このあと海岸沿いを歩くのはきつかったと思います。



1時間毎に10分の休憩時間が設定されていて、この時に靴を脱いで風通ししたり靴下を履き替えたりして足を乾燥させておくのがマメを作らないコツなのですが、この雨ではそうはいきません。地面に腰を下ろすことさえできないでしょう。

寒くないだろうか、どこか痛くなってないだろうか、マメはできてないか、熱は出してないか、頭の半分がつねに「今ごろどうしてるかな…」に占領されて、何をしても落ち着きません。気づけばまたため息をもらしているというわけです。





小説「夜のピクニック」には、歩き続けることで生じる心と体の変化の様子が、時間の経過に合わせて克明に描写されています。夕食後の様子はこうです。


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 こんなふうに、肉体的な苦痛を自覚してしまうと、それはたちまち全身を包み、どうにも堪え難いものに思えてしまう。一足ごとに痛みが全身を貫き、じりじりと内側から精神を切り崩そうとしているのを感じるのだ。
そして痛みに気を取られていると無口になる。言葉を口にするのが億劫になり、会話は多大なエネルギーを要するものになってくる。
 夜になってからの興奮が収まると、何かの拍子にみんなが無口になる。
 列は静まり返り、足音だけが恨めしそうについてくる。
 だが、まだこのあとがつらいことを、上級生たちは知っている。夜中の12時を回って、仮眠所にたどり着くまでの約2時間がつらいのだ。前に進もうということすら苦痛になり、表情を繕うことすらできなくなる。不機嫌さを通り越し、疲労に感情を抜き取られてしまった、動くだけの生き物。そうなる時刻が、少しずつ近づいてきている。(恩田陸著「夜のピクニック」より抜粋P157〜158)

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70キロを一昼夜かけて歩き通すという過酷な行事に、今年はスタートからゴールまで雨降りという悪条件が加わりました。九百何十名かの高校生たちはいま、何を考えながら歩いているのでしょう。


土砂降りの闇の中に懐中電灯の水玉模様を揺らしながら、いろんな思いが浮かんでは消え、引っ張りだしては転がし、味わい、しまい直し、ひねってもみくちゃにしては捨て去り、負けそうになっては背筋を伸ばし直したりしているのでしょうか。


なんでこんな思いしなくちゃならないんだと途方に暮れながらも、体は勝手に右足と左足を交互に前へ放り出し、着実に前に進んでいるでしょうか。



なんでこんなことしなくちゃ…の意味が分からないままでももいいから、ぜひ右足と左足を交互に前に出し続けてほしい。
そして1人でも多くの子が自分の足で母校にたどり着いてほしいです。



とってもたいへんだと思う。でも少しうらやましい。





    この行事に力を貸してくださっているすべての方に感謝します



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Trackback(0) Comments(7) by Yamepi|2010-10-09 21:09

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