うっかりした。映画「西の魔女が死んだ」を観に行こうと思っていたのに、近隣の映画館では先週末で公開が終わっていた。
梨木香歩さん著の原作本を買ったのは4、5年前になるだろうか。それより少し前に、どこかで書評を見て同じ著者の「マジョモリ」を◯え向けに取り寄せていた。端整で涼しげな挿絵もとても素敵で、ワタシも不思議な物語を楽しんだ。しかし児童向けの一冊ながら、文字の佇まいがまだ当時の◯えには早かろうと思い本棚にしまっていたのだが、思ったよりずっと早くいつの間にか手にして読んでいた。
「マジョモリ」を買って間もなく、次に「西の魔女が死んだ」を購入した。
少女まいが田舎に住む母方の祖母の元で暮らしたひと月あまりの日々。魔女修行の名目で、まいはおばあちゃんから多くのことを学ぶ。
主人公のまいの年齢に◯とが近かったこともあり、◯とにとっても良書であったに違いない。母という一番身近な大人は出来損ないだが、こうして本の中で出逢う立派な大人が、たいせつなことを恩着せがましくなく教えてくれることもある。
実にありがたい。
ある日、本を読みながらミントティーを飲んでいた◯えが、ポットの飲み残しにお湯を足し、捨てずにこのままとっておいてほしいと言う。◯えはハーブティーや紅茶が好きで、ミントの新芽を摘んではよくお茶にして飲んでいるのだ。
理由を聞くと、
「ミントを煮出した水はアブラムシなんかの虫除けになるんだよ、だから冷めたら
二十日大根の葉っぱにかけるんだ」
「へぇ、そんなこと誰に教えてもらったの?」
「西の魔女に書いてあった」と言う。
ふ〜ん、いつの間に……。
「◯えにはまだ早いんじゃない?難しくないの?」
「うーん、少し難しいけど、でも、あの本好き」
そうか、分からないけど、でも好きか。それなら読む資格は充分だ。
昨日夕方子らと三人で本屋へ行ったが、◯えのリクエストは同じく梨木香歩著の「エンジェル エンジェル エンジェル」だった。これもまた少し難しいだろうと思う。でも、もし難しくてお手上げだと思ったら本棚に入れておけば良い。いつか再び手に取った時には、以前つまずいたところもすんなり頭に入って来て、その時の読解度に見合った感想を得ることだろう。二人とも好きな本は何度でも読むから、読む度に違う思いを抱くかもしれない。
知らぬ間に娘たちは高度な本を手にするようになっている。ワタシの知らない知恵を持ち、ワタシの想像以上に複雑な心情を抱くようにもなっている。当たり前のことだけど、子は日々成長しているのだなぁ。
うちにある梨木香歩さんの本はこれで三冊になったわけだが、いずれも娘、母、祖母など、女の系譜を縦軸に描かれている。それぞれの立場で読むこともできるが、何しろ女は始め娘で終わりは婆さんなのである。来し方行く末としてどの年代にも気持ちが寄せられる。
三冊とも毒気がなくて清い。精神世界への扉が少し開いていて、目に見えないものにそっと触れようとしているようなお話し。女子のココロにリン♪と鈴を鳴らしてくれる作品である。
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Trackback(0) Comments(6) by Yamepi|2008-07-22 16:04
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