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[ゆたりやの亭主] 記事数:256

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愛情一本(番外編)

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     思えば、生まれてはじめて
     手に入れたギターは中学3年の春。
     親に頼んでやっとのことで買って貰った
     ヤマハのフォークギター。
     確かFGシリーズの1万5千円だったと思う。
     現在でも、国産ヴィンテージとして結構人気のある、
     FGシリーズの黒ラベルで、
     ヤマハのロゴは音叉マークだった。

     本当は、エレキギターが欲しかったが、父は許してくれなかった。
     アンプが無いと音が出ないという理由もあり、
     僕は諦めるしかなかった。
     長い間、説得してやっと買って貰えることになったのに、
     さらに、アンプを強請るのは身分相応ではないと思った。



     中学生時代の前半まではクラッシック音楽、
     特にバロックばかり聴いていたが、
     友達の影響でハードロックや
     ブルースロックを聴くようになった。
     当時のブリティシュハードロックは、
     バロック音楽の要素を取り入れた
     ハモンドオルガンをフィーチャリングしたものも多く、
     クラシックとロックが融合した
     プログレッシブなロックミュージックは、
     バロック音楽好きの僕にとって実に心地よいものだった。

     しかし僕は、ストーンズ、ツェッペリン、フリーやパープルを
     聴いた時の感動よりも遥かに強烈な衝撃的な「ライブ」という
     「音の波動」の洗礼を受けることになる。

     始めてロックのライブを聴いたのいは中学2年の秋。
     当時、中高一貫教育だった母校の文化祭だった。
     高校生とは思えない、高度なテクニックとパフォーマンスで
     ディープパープルを演奏していた人気グループ、
     「キャプテン・ヒープ・ロックンロールバンド」。
     現在の「BLUE INNER CHILD」の
     ヴォーカル、ケンゾー荻野と
     「CITY OF ANGELS」のギター、兼子正史が
     初めて結成したバンドだった。

     あの時の衝撃は現在も記憶に残っている。
     オレンジの100Wのアンプをフルに歪ませた
     ドライブと音圧は全身を震わせ、
     大きな波動として僕の魂を虜にしたのだった。
     少しオーバーかもしれないが、今から35年も昔の話で、
     当時はTV番組は勿論、地方ではラジオやレコード以外に
     ロックミュージックを聴く方法はなかったのだ。

     その時から、僕はロックバンドを演りたいと
     考えるようになった。

     しかし、初めて買って貰ったギターはフォークギター。
     これでは、ロックバンドどころか、
     ギターフレーズのコピーもできない。

     そんな時、ラジオの深夜番組ではTV出演を拒み、
     流行歌とは一線をひいた、シンガーソングライター達が、
     放送コードギリギリのところでDJをやっていた。
     テレビでは絶対聴くことのない、日本語のロックや
     シンガーソングライターの曲をたくさん流していた。
     そして、放送禁止歌や反体制の
     メッセージソングを知ることになる。
     唄はメッセージであり、詞には哲学や思想があった。
     日本語のストレートな歌詞に強い衝撃を受けた僕は、
     ソングライティングに興味を引かれていった。



     ロックバンドの夢は、自分のメッセージを歌詞に込める
     シンガーソングライターの世界へ
     大きく方向転換することになった。
     父に買って貰った1万5千円のフォークギターは、
     シンガーソングライターに必要な
     作詞・作曲と歌うための伴奏楽器として
     申し分のない道具に変わっていったのだった・・・。

     その後、高校時代はオリジナル曲をレパートリーに
     本格的なバンド活動に明け暮れることになる。
     ステージは勿論だが、貧乏学生の僕は、
     日頃から借り物のギターを使用していた。
     それらは、僕のギターよりも遥かに良い音ばかりで、
     メーカーの個性や楽器の良し悪しを知る良い経験となった。
     ある時、先輩から借りた高価な(20万円以上)ギターを盗まれ、
     補償で不足した5万円を優しい人から
     借金して弁償したこともあった。
     誰かから貰ったやボロギターを改造して、
     オリジナル仕様にして使ったり・・・と。
     自分のギターを持たない時期が長く続いたおかげで
     ギターに関連したエピソードには事欠かない。

     だからなのか、一本一本のギターにはたくさんの思い出があり、
     ギターに対する愛情や思い入れは、人一倍強いのかもしれない。

     やっとこの歳になって、GibsonやFenderといった
     本物を手にする喜びを感じている。
     高価なものを簡単に買って貰える環境では
     この喜びを感じることはできなかっただろう。
     簡単に手に入れることができてしまっては、
     大切にするココロも稀薄になってしまうのかもしれない。

     僕の夢はとうの昔に破れてしまったわけだけど、
     ある意味、1万5千円のギターでも充分大きな夢を持ち
     キラキラと輝く希望の日々を過ごせた事を感謝しているのだ。
 

     ※写真は、高校1年頃。
     ギターは借り物のヤマハ(上)ブルーベル(下)




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» Tags:ギター, , シンガーソングライター, ロックバンド,

Trackback(0) Comments(6) by Yasumine|2008-09-14 16:04

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