旅に欠かせないのはカメラ。
たくさん旅をしていると、訪れた街の風景を
思い出せなくなることがあったり、
風景は印象に残っているのに
どこの街だったかわからなくなってしまうことがある。
そんな曖昧な記憶を蘇らせてくれるのが写真だ。
僕の旅は取材や撮影を兼ねた仕事絡みでかけることが多いので
ノルマを達成しなければならない駆け足の旅が殆どだ。
もちろん僕はカメラマンではない。
ロケハンの写真はダミーとして使うため、
それほどクオリティを求められることはないのだが、
写真は嫌いな方ではないので、つい力が入ってしまう。
デザイナーが撮る写真はある意味、仕上がりを想定しているし、
現場で構図やストーリーなど、いろいろなことを考えているので
移動しながら長時間の撮影に集中するのは思った以上にハードだ。
個人的にゆたりと旅にでかけても、
いつもの癖で、写真を撮ることに夢中になってしまうこともある。
そして、風景や建物ばかり撮って、家族の思い出の写真は
一枚も残らなかったりすることが多い。
最近はデジカメなのでその場でチェックできるので楽だ。
フィルムの時代は、露出やピントなど
失敗に終わることも多々あった。
仕事では、一眼レフを使うし、レンズもたくさん持って行くが
個人的な旅には、ごく普通のデジカメが楽でいい。
しかも、いろいろなモードで楽しめるので、
計算されない写真が撮れることも嬉しい。
今日、ブログに掲載した写真は、何年か前に
山形市の文翔館(国重要文化財)へ訪れた時に撮った写真。
「文翔館」は、大正5年6月に建てられ、
県庁や議事堂として使われていたルネッサンス様式の建物。
現在は、山形県郷土館として一般公開し、
イベントやいろいろな講座などを開催しているようだ。
この頃から意識的に「窓」の写真を撮るようになった。
窓は建物にとって目や口みたいなもの。
うつろう光や呼吸を感じたりしてとても興味深い。
光の入り口だったり、風の抜け道だったり、
夜には優しい灯があふれたり、柔らかなカーテンが揺れたり、
ステンドガラスや窓枠の形状とデコレーション・・・。
いろいろな表情を見せてくれる四季の情景など、
それぞれの「窓」はそれぞれの個性を楽しませてくれる。
実は、歴史的建造物を見るのが好きなこともあって、
「窓」を意識する以前から
随分多くの「窓」の写真を無意識に撮っていたようだ。
何気なく見えていた「窓」・・・
あたりまえのようにそこにある「窓」に
あえて意識的に奥行きのある豊かな表情を
観察できるようになったことは、
最近の旅の新しい楽しみのひとつになった。
もちろんアルミ製のサッシの窓ではない。
木や石や鉄や土といった自然素材の窓に限る。
しばらくの間、「窓」と向き合う時間が続くことだろう・・・。
Trackback(0) Comments(2) by Yasumine|2008-10-09 09:09
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