維新餘聞「銀座のお吉」(小説)
實話と小説 第2巻第5號(雑誌)
寺島柾史 著
實話と小説社 発行
昭和24年4月1日(1949)初版
※写真は昭和24年4月1日初版/¥60(定価)
●購入先/史録書房(東京都練馬区) 代金¥2,000(送料・税込)
●B5判・並製本(表紙カラー/高木清画)・本文70頁(14〜19頁が寺島柾史作)
●曽我部泰による挿絵(3点)
所蔵確認/プランゲコレクション(稀少)
「銀座のお吉」は、芸者お吉と刺客の愛憎と逃避の物語であるが、歴史背景と暗殺のからくりは複雑である。おちぶれた芸者お吉は、参議廣澤兵助と馬車に乗る若い芸者おかねの出世を妬んでいた。人を斬って逃げていた男を匿まうことにしたお吉は、男に廣澤とおかねを殺して欲しいと説得する。しかし、刺客を頼まれた男が廣澤邸へ行ってみると、廣澤はすでに殺されていた。廣澤を憎む者は多く、同じ長州藩の木戸や薩摩藩の大久保、明治勤王党なる秘密結社や芸者おかねまでも廣澤を狙っていたらしく、結局誰が犯人か判らないまま物語は終わってしまう。実在の人物長州藩士廣澤兵助は、維新後国政に参与し、明治元年(1868)には東征大総督参謀、後年参議に任命される。同4年(1871)刺客の刀に倒れた。もちろん史実に基づいた事件を脚色したものであろう。柾史が維新前後の歴史小説を数多く残しているのは、戦前に積み重ねた歴史研究の成果なのだろう。
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Trackback(0) Comments(2) by Yasumine|2009-01-17 16:04
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