大正14年に芦ノ湖に食用とスポーツフィッシング目的で輸入されてからそろそろ100年になろうとしてる「ブラックバス」スズキ目サンフィッシュ科に属する外来魚。
1990年代から害魚の筆頭として様々なメディアを賑わせている。
なぜここまでフォーカスされる存在になったのだろう??
なんとなく害魚論争も沈静化している今だから、もう一度客観的に整理してみないと!
まず「外来魚=害魚」かどうかに関してはどうだろう?
レットデータバンクや固有種の保存の観点からは当然害魚にあたるよね。
でも外来魚ってどのくらい居るんだろう??
冷水性でいえば
レインボートラウト(虹鱒)ブラウントラウト・レイクトラウト・ブルックトラウトなどのトラウト類はほぼ全てが外来種にあげられて、全ての種は成魚になると河川や湖のワカサギ・カジカ・イモリ・サンショウウオ・モリアオガエル・もちろん昆虫など食べていて、あきらかに希少種も含めて主食にしているけど害魚論争の軸にはならないよね。なんでだろう??
「身近」な湖沼・河川でいえば
ブラックバス・ブルーギル・雷魚・アメリカナマズ(キャットフィッシュ)草魚・レン魚・青魚そして信じられないだろうけど鯉までが正確には外来種(鯉は輸入時期があまりにも古く固有種かな?)。もちろん綺麗なタイリクバラタナゴ・大タナゴ・かだやし(グッピーの原種)も例外なく外来種。その他アメリカザリガニ・ミシシッピーアカミミガメ(みどり亀)もね!
39年も生きている僕だってネイティブ(野生)のイシガメやクサガメは見たことない(千波湖に逃がされたのはあるよ!)
ちょっと話がそれるけど
僕が10年ほど前にフロリダに行ったときは、フィールドガイドの方が「カープ(鯉)には非常に困っている」って言っていた。それこそ僕の中で最初は訳が分からなかった。単にアメリカ産の魚を擁護しているのかな~~って思っていた。
でも科学的データの好きなアメリカ人いわく
「雑食性が強く大きな鯉は、酸素を供給する水草の新芽を食べて他の魚の卵を根こそぎ食べて水質改善する貝類を食べて、何よりも1匹あたりの糞尿のアンモニア量が多く出るから困る」というのだ。
日本とは比べ物にならないくらい自然保護や環境にナーバスな「エバーグレーズ国立公園(広大な湿地帯)内」のガイドの話だから本当なのだろう。一方でアングラー(釣り人)に対する社会的意識は極めて高くバスプロなんていったら普通に目の青い子供達にサインを求められるほどだ。
ま~ミドルクラスからアッパークラスの生活者はサマーホリデーで、家族でバスフィッシングをすることがライフサイクルに組み込まれている社会だから当然かもしれないが、自然との関わりを、フィッシングを通じて教えているのだ。
僕は2週間ほどの滞在で、全ての日程を湖上で過ごしたけど、数々のマリーナ周辺以外にはコンクリート護岸は一切見当たらない。日本の四国ほどの広大なエリアのほとんどがそのままの状態で維持されている。パーチやシャッド(小魚類)も豊富に泳いでいて人影を見せると瞬時に水草やシェード(影)に隠れる。もちろんマナティーやワニまで普通にみられる場所でも小魚が食べられすぎて減ったなんて誰も言わないし考えもしない。それが自然だから。
さてココから本題に戻り批判覚悟で書いてみよう。
知っている人は知っているとおもうけど、単に外来種の中で1番問題になるべきは「ブルーギル」なのだ。肉食性の強い雑食だから、他の卵も稚魚もバクバク食べちゃう。繁殖力もバス以上。数十年という短い期間で日本のほぼ全てに蔓延したといっても過言ではない。でも不思議なことに各メディアはバスをメインに取り上げる。なぜだろう??
理由はブルーギルを輸入したのは昭和天皇時の皇室だから。今となってはこの話題を取り上げることに何の意味も無いけど。背景としては外せない要因かもしれない。
利権(お金)を軸に話をすれば
90年代に外来魚駆除の予算化が始まり、ある県では昨年と漁獲高の減収分を予算で補ったため申告により補助金がでたのです。(まじめに漁をしたのかな・・?)
一方で、富士五湖や野尻湖・桧原湖などいくつかの自治体ではバスを魚種認定したことで、釣り券収益だけでも億単位の売上げに倍増させました。今はバスを養殖して放流して安定収益の柱にしています。
つまりは、バスが「有益だ~」もしくは「害魚だ~」って騒げばお金が落ちる時代なのです。本来ならば日本で2番目に大きい霞ヶ浦でもバスを有益な魚として認定すれば、すごい金額が管理団体(漁協とか)に落ちるんだろうけど、霞ヶ浦・北浦は法的には外水面(海扱い)で釣り券が取れない場所。必然的に害魚として見られてくる。もし全国1000万人以上居ると言われている釣り人から徴収できれば、その費用で護岸の浜化や水生植物の増殖・保護水面の管理など「活きたお金の循環」ができると思うけど。いまはそれぞれの意識が別なほうを向いている。今後もクリアーするには難しいかな。
でもほんとうにブラックバスって不憫な魚だ~・・・。結局生活圏が人間の生活圏と重なったためにニュースになりやすかったこと。あわせて自転車で遊びが成立する子供たちにも手が届く遊びだったこと。資金のある大人たちも嵌ったこと。偽者のルアーにさえも果敢にアタックしたこと。引きが強くファイトが派手だったこと。
僕は科学者じゃないから種の保存のために外来種を全て駆逐するなんて考えには至らない。
外来種が居ても固有種が維持繁栄できる環境の整備こそがこれからの考えだと思う。
だって1匹残らず駆逐するなんて無理なことは素人でも分かるし
仮に池や湖を空にしてもその上流や水路からいずれ流れ込んでくるからね。
なにより、今の子供たちにとっては自然と触れ合う機会の対象がアメリカザリガニやブラックバス・ブルーギルでもいっこうに構わないはず。重要なのは自然と触れ合うキッカケとして身近な存在はどの魚かってこと。
例えが変かもしれないけど、これからの時代に日本に居る外国人とは遊ばせません!なんて親も居ないでしょ。
それよりも大事なことは、何で小魚が安心できる環境(水草や隠れ家となる地形)が減ったのか?に目を向けるべきだし、その原因もハッキリしているんだから、後は「やり方を整理して」動くだけなんだ。
先日(9月かな?)国土交通省が始めて日本の河川工事に大きなミスが『担当者』の誤解によりはっきりした。9000億円が無駄な事業だった。と認めました。ニュースとしては小さなものとして流されましたが、掘り下げるに値するニュースだったはず。蛇行する河川を直線に変え、全てをコンクリートで固めたことに関して無駄だったということだけど、解説では国土交通省ではなくてその「担当者のミス」という表現を盛り込んでいるあたりがなんともやりきれない。
そうそう、このブログを見ている方で農家を営んでいる方がいれば、是非にもトライしてほしいんだけど休耕地に水を張って冬場に抜かないでほしいのです。いろいろ面倒なことがあるのかもしれないけど「田んぼビオトープ」というやり方は1番費用を掛けないで固有種の復活が出来る方法だから。水深20センチの奇跡があなたの田んぼから起きるかもしれません。
最後に、涸沼・那珂川水系ではブラックバスの害魚論争は、本来は論点がズレた話になることを分かってほしいのです。冒頭にスズキ目という話をしたけど、那珂川では3月から天然遡上の鮎を追って60センチを超えるスズキの大量の群れが茂木(栃木)のほうまで遡上します(半数は藤井川の合流でUターン)。スズキも当然フィッシュイーター(小魚を食べる魚)ですから1匹あたりの小魚消費量はブラックバスなど比較するどころではありません。
7月ごろからイナッコ(ボラの幼魚)を追って涸沼本湖に押し寄せるスズキの数も数えられる量をはるかに凌駕しています。だからシーバスフィッシングでルアーマンが押し寄せるんだけど・・。
すなわち海と繋がっている河川や湖の場合はバス議論する定義が存在しないのです。
今回は画像無し、イメージで楽しんでください!!
Trackback(0) Comments(4) by マーサカワマタ|2007-12-25 10:10
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