寺島柾史と会津藩士

ゆたりやの亭主　晴耕雨音〜人生後半の旅の途中

BLOG by Yasumine

[ゆたりやの亭主] 記事数：256

　　先日、久しぶりに祖父の本を探していて、
　　偶然にもたくさん入手することができました。
　　この数年間、時々思い出したように調べては入手
　　ということをくり返しています。
　　いろいろ調べているうちに、

　　ちょっと不思議な発見をいたしました・・・。

　　ちなみに、今回入手した本は、
　　入手が難しかった人気の少年科学冒険小説で、
　　昭和16年7月20日に日本公論社から発売された「海底の魔城」。
　　そして、同年同社刊の「兒玉花外愛国詩集」です。
　　柾史は巻末で解説を書いています。
　　それから、「名槍と純刀」という小説を三連載した、
　　群馬県高崎市在郷軍人会発行の「上毛士風」という雑誌が3冊揃い。
　　もうひとつおまけに、つい最近のことですが、
　　平成25年8月8日復刻された「怪奇人造島」。
　　パール文庫（真珠書院）というところから発売されました。
　　表紙と挿絵がマンガの装丁です！
　　最初はマンガ本かと思いました（笑）。
　　三一書房版を定本にしているようですが・・・。

　　少し前に入手した白木陸郎の「国境」（画：青山義男）は、
　　小説家への再起を感じさせる作品と小説家の道を選んだ
　　若き日の想いが書かれていて、
　　知らないことが多い祖父の若き頃の内心を知ることができました。
　　まだまだ、読み解いていくことでいろいろなことが
　　見えて来るので楽しいです・・・。

　　必然なのか偶然なのか悩むとこですが、
　　今日は、寺島柾史と会津藩士のお話です。

　　根室の花咲尋常小学校の水野文雄先生の母親、
　　水野貞（てい）は、会津藩士、梶原平馬の妻だったこと。
　　つまり、柾史に大きな影響を与えた尋常小学校の恩師、
　　水野文雄先生（享年22 歳）は、梶原平馬の息子だということ。
　　そして、平馬の最初の妻二葉は、会津の名門山川家の長女です。
　　会津戦争の後、二葉は梶原平馬と離婚。
　　明治10 年頃から東京女子師範（現お茶の水女子大）で
　　教鞭をとっています・・・。
　　そして、水野貞も東京の桜川女学校で、
　　明治11 年頃まで教鞭をとっていました。
　　もしかすると、二葉と貞は平馬とともに、
　　どこかで接点があったのかもしれません・・・などと、
　　いろいろと妄想してしまいます。

　　二葉の弟山川健次郎は、会津戦争で白虎隊に入隊。
　　斗南藩再興の後、アメリカへ留学し、
　　日本初の物理学者、東京帝国大学総長となる。
　　そして、柾史が上京の際に最初に努める
　　國本社の副会長でもあるのです・・・。

　　柾史の妻、星みつ子も会津藩士（白虎隊？）の娘。
　　その先祖の名前はわかりませんが、
　　斗南藩へ流れたたり、北海道へ渡った
　　星姓は多かったと聞きます。
　　妄想はどんどん膨らみます・・・（笑）。

　　以前から、上京した柾史がどうして「國本社」を選んだのか、
　　なんらかの口添えがあったのか・・・が知りたくて、
　　いろいろと調べていました。

　　消息不明だった、梶原平馬が「景保」を名乗っていたこと、
　　根室で墓が発見されたのが昭和63 年だったことから、
　　事実は隠されていたことと思います。

　　あくまで推測ですが、
　　祖父は水野先生から歴史や文学の話しを聞いて育ったはずです。
　　自身の生い立ちや会津の悲しい歴史などを
　　知る機会があったのかもしれません。
　　薩長側から見た歴史ばかりが正論とする歴史認識を
　　痛烈に批判していた柾史の根底に
　　会津が見え隠れするのです。

　　もしも、祖母の生い立ちや、いろいろな人脈が会津とつながり、
　　上京の足がかりとなった可能性も否定できないのではないか・・・
　　いや、まったく知らなかったとしたら、
　　偶然では片付けられないほどの会津の人とつながりを
　　感じずにはいられないのです。

　　こんなことを妄想しながら、
　　いつ終るのかわからない祖父の研究は続くのです。

　　※蔵書目録更新しました。
　　※写真は今年（2013）の春に会津で撮影しました。