荒れる天気の前。
いくつかあるお気に入りの浜辺のひとつに
易々と立ち入れない浜辺の場所がある
めったに行かないその浜辺は
いつ行っても人影はほとんどない
植物が育つ陸地まで砂が浸食しているようで
植物らしき物はあまり見られない
足下の白い砂がふかぶかとして
靴が埋もれそうなくらいの厚みがある
数歩踏み入れて立ち止まる
先に進むと痛い目に合いそうな危うい感じがある
*
砂浜を遮る長々と続く境界線
立ち入れない理由は何かわからない
砂浜と陸地の区別はどこだろうといつも思う
*
*
境界線を越えてまで先の景色を見たいとは思わない
そんな勇気も行動力もないし真似事はしたくない
少しなら大丈夫だからと超えて痛い目に合うのは必ずこっち
だからここで遠巻きに眺めているだけで充分な景色
これまでも、これからも…。
*
*
じっとこらえて過ごした後には
荒れる天気の中に一瞬だけすっと光がさす
お天道様は誰にも同じひかりをさしてくれる
だからもう少しだけ、春はもうすぐ来るから……。
by すわち|2016-02-23 00:12
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