平成22年1月、茨城県の農業産出額が公表された。
1位はダントツの北海道(1兆251億円)だが、
茨城県の平成20年の産出額は4284億円で
15年ぶりに千葉県を抜き2位となった!
もともと、茨城県の耕地面積の割合は、
29%と全国1位をキープしている。
農業戸数2位、農家人口(農家世帯人数)1位、
農業就業人口(兼業含む)1位、など、
「万農王国」の名にふさわしい農業王国なのだ・・・。
日本一の農産物には、幸水、豊水、メロン、くり、れんこん、
ちんげんさい、秋冬はくさい、夏秋なす、夏秋ピーマンなどがある。
また、ごぼう、冬にんじん、などは、2位の生産量を誇る。
平成20年の農業生産額は前年4.9%増ということだが、
果実などの価格下落に対し、米、鶏卵の生産増加や、
肉豚の価格が上昇したことが要因となっているらしい。
鶏卵の産出額は全国1位、肉豚3位、米5位・・・・。
野菜、米、畜産と、実にバランスの良い生産力があることも
茨城の農業の発展には欠かせないことなのだろう。
しかし、喜ばしい実績とは裏腹に
僕たちの食卓の陰には、いろいろな難題を抱えながら
頑張っている生産現場があることを忘れてはならないのだ。
先日、毎日新聞に連載された
「食を拓く〜生産・流通現場の新地平」に
茨城の農業の現在が、いろいろな視点でとらえられている。
農業継承〜有機農業〜商品開発〜農業ブーム〜
流通〜大企業の直営農場〜新規就農のハードル〜
週末農業〜偽装表示対策〜耕作放棄地など、
全10回に及ぶ連載から「食と農」が抱える
いろいろなヒトやコトが見えてくる。
この連載で取材を受けた「万農王国」も
近年の「農業ブーム」について
いくつかの質問を受けた。
その中の2つの質問に対して僕はこんなふうに答えた・・・。
Q:農業関係者には「ブーム」を危ぐする声もあります。
ともすればデザイン・広告会社は「あちら側」と取られる
こともあるかと思いますが、農業王国・茨城の地元企業として
農業を「デザイン」で支える役割をどうとらえていますか?
A「農業ブーム」という言葉の10年以上前から
僕たちは会社に畑をつくり、自分達で少しづつ実践していました。
「豊かな食」とは何か、新鮮な野菜がどれほど「贅沢」か、
ということを感じていました。
そして、「農業」というモノづくりが実にクリエイティブな
仕事だと思えるようになりました。
だから、最近の「ブーム」については、
似たような思いを持っていた方々の自然到達点なのでしょう。
僕たちのやっていることは
少し違う視点から取り組んでいます。
「農と食」の情報発信は、「地方を良くしよう!」
という試みのひとつと考えています。
ブランド力では最下位の茨城にとって、
農の力は、全国でも上位に位置します。
「いばらきブランド」を考えたとき
「農と食」抜きで語れないのです。
それらの食材がどれだけ大切な地域資産(資源)
であるかということを根本から見直し、
きめ細かに整理しなければいけません。
だから、農業の現場を知ること、
知っていただくことから始めました。
農家の方々からいろいろな話しを聞いていくうちに、
食材や加工食品のブランド力に必要な
デザインの接点が生まれたのです。
純粋にさまざまな面で優位な「MADE IN IBARAKI」を
一番良く知っている僕たちが、
地域資産(資源)として丁寧に情報発信し、
茨城のブランド力をもっと高めるために
デザイン面でお手伝いさせていただくことが
僕たちの役割と考えているです。
Q:一過性で終わらせないため、
関心を継続させるために何が必要だとお感じですか?
A「ブーム」であれば一過性で終わるのかもしれませんね。
もちろん、流行に乗った表現は消えてしまうかもしれません。
でも、「ブーム」でいいのでしょうか?
食べることを止めない限り
「農と食」は永遠のテーマだと思うし、
傲慢な大国の消費のせいか、
世界の食糧状況は悲惨なものです。
異常なほど恵まれたこの国の「食」は輸入に
依存していることを僕たちは忘れては
ならないのだと思うのです。
大量生産、大量消費の時代は終わったといいながら
いまだに大量に輸入して大量に廃棄しているこの国の
「食」への関心度は、まだまだ低いのだと思います・・・。
だから、関心のないところからは
「農業ブーム」なんて言葉も出てくる・・・。
ひとりひとりが本当の意味で「豊かな食」を考える時代は
これからなのだと思います。
先日、NHKアーカイブスで
80年代と90年代に放送した2つの番組を観た。
■NHK特集「こどもたちの食卓 〜なぜひとりで食べるの〜」
■NHKスペシャル「知っていますか 子どもたちの食卓」
80年代前半、日本人の食生活は「孤食」「偏食」へ向い、
子ども独りだけで朝食をとっている家庭が39%という
悲しい食卓の現状は25年以上前から
あまり変わっていないようだ・・・。
食育活動など教育の現場でも
いろいろな取り組みがされているが
状況はどれほど変わったのだろうか・・・。
金のために働くのか?
食べるために働くのか?
幸せの価値感はそれぞれだろうが
25年前のバブル時代の家族の映像からは
およそ「豊かな国の暮らし」を感じることはできなかった。
» Tags:農業, 茨城, 産出額, 全国1位, 全国2位, 万農王国, 新聞, 食, 農,
Trackback(0) Comments(6) by Yasumine|2010-01-26 12:12
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