「維新の處女地」(小説)
寺島柾史 著
玄文社 発行
昭和23年1月20日(1948)再版
(初版は昭和15年10月10日読切講談社より発行)
※写真は昭和23年1月20日再版/¥50(定価)
●購入先/葦書房(福岡市) 代金¥5,540(送料・税込)
●B6判・並製本・本文180頁
●装幀・挿絵あり(作者不明)
所蔵確認/北海道立文学館/室蘭港の文学館/北海道立図書館/国立国会図書館
本書は、既に昭和15年(1940)に日本公論社から発行されたものを、戦後改めて再版した全六編の短編小説集である。昭和22年(1947)柾史54歳の時、別海町奥行臼にある農家の納屋を出た柾史と家族は、活動の拠点を深川の一乙村(現在の空知支庁深川市)に移している。この頃の柾史は、地元出版社からの雑誌の仕事も増え、執筆活動に新たな意欲も生まれていたようだ。本書で柾史は文学に対する信念をこんな風に述べている。『詩歌文章十八般を學びとり、筆の穂先を磨り減らしたのち、はじめて文學を談じ得べしとは、わたしの四十年の文學修業の信念である。(中略)文人仲間はわたしをとらへて鵺のごとしと云ひ、鯰のごとしと評し、いづれが正体か捕捉しがたしと敬遠すること久しい。だがわたしはかかる批評には風馬牛であり、文藝十八般それぞれの讀者は、わたしの新著を爭うて買つてくれ、繙くももどかしと讀み耽つてくれる有難さ。これを百万の味方としてケチな文壇を軽蔑し、一國一城のあるじを氣取って横行濶歩する次第である』そして、『續いてこの社から出す「海峡」を読んでいただきたい…』とある。「海峡」の存在は確認できてないが、40年来の文筆活動の節目に、柾史の新たな挑戦を予感する作品のようだ。
※注意:このブログは戦前戦後を生きた祖父の作品を紹介していますが、筆者自身の思想とは何ら関係ございません。また、その時代を反映した書物ゆえ「ゆたり」の主旨に反する表現があることを予めご了承ください。しかしながら、偏った思想や戦争がすべてを狂わしてしまうことを、私たちは事実として真摯に受けとめなければなりません。したがって、過去から学び、現在の情報を選択・分析する術を知ることが必要と考えております。
Trackback(0) Comments(0) by Yasumine|2008-10-16 11:11
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