ウイリアムは手が痛い
病院へ行こう!と
決心すると
翌日は痛くない
不思議な手
この繰り返しで
いつまでたっても良くならない
もういいかげんになんとかしないと・・・
もしかして二度と
そば打ちもできない
ラケットも握れない
縦笛も吹けない
そんな体になってしまうかもしれない
とっくの昔にしびれを切らしていたオリビアは
金曜の夜のゴールデンタイムにビールを飲みながら
落ち着きなしのその震える手で
ビールをチャポチャポこぼしながら
ウイリアムをじっとり見つめ
凄みまじりに切り出した
「明日は絶対に病院に連れて行くよ!!」
オリビアの震える手に
ウイリアム降参
オリビアは運転が出来ないので正確には
「病院にくっついて行く」だった
土曜は病院も午前中までが多い
気が変わらぬうちに
急いで出かける
病院で
レントゲンをとって
びっくり!
なんと!
明らかに普通じゃなかった
ウイリアムの骨は
手首の骨がやたらと離れている
人間はココがくっついているのが正しい
これは進化?それとも退化?
はたまた変態??
真横のレントゲンでも
人間は2本上下に骨がズレているのが正しい
ウイリアムはピッタリ重なって1本に見える
「これじゃ〜痛いはず・・・」と先生のお墨付き
治療は軟膏を塗ってサポーターをあてて終り
そして
「手を使わないのが一番いい」ということだった
手を使わないなんて・・・
カツオじゃあるまいし・・・
なんとも消極的な人生になってしまったものよ
ウイリアム大ピンチ!!
整骨院はお年寄りでいっぱいだ
大人気はマッサージ
若いお兄さんお姉さんが優しく肩をもみほぐしてくれる
お年寄りでなくても魅力的
この整骨院に
元気な明るいおじいさんがマッサージを受けていた
大きな声で笑い
誰でも構わず手当たり次第に話かける
とっても嬉しそうに「いで〜 いで〜」と痛がる
「痛喜んで遊ぶおじいさん」だった
「いで〜」と、苦痛の後に必ず「おかづ」がつく
「いで〜よ! なぁ おじいさん!!」と
おじいさん達に相づちを求める
まわりはおじいさんだらけだから
一斉に「オレか?」「オレ?」とみんな振り向く
そうかと思えば・・・
しっかり
おばーさんバージョンも用意してあって
マッサージにウットリしながらも
おばーさん達は
そのおばーさんバージョンの相づちをときどき求められるため
うっかり寝てもいられない様子
病院側もこのおじいさんを野放し
まわりも別に嫌がっていない不思議
おかげで
病院内は退屈しらず
「痛喜んで遊ぶおじいさん」は
この病院のアイドルだったのだ
Trackback(0) Comments(7) by オリビア|2008-06-16 19:07
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